海外ジャーナルクラブ
17日前
Petersenらは、 静脈血栓塞栓症 (VTE) の患者を対象に、 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) と経口抗凝固薬 (OAC) の併用に伴う出血リスクをコホート研究で検討した。 その結果、 NSAIDs使用期間中は非使用期間と比較して出血リスクが2倍以上に上昇することが示された。 本研究は、 Eur Heart J誌にて発表された。
NSAIDs併用での出血リスクは、 ワルファリンの方が、 DOACよりやや低そうです。
VTEは約12人に1人が罹患する疾患であり、 その治療や再発予防にはOACが用いられる。 一方、 NSAIDsは鎮痛や炎症治療に広く使用されるが、 抗血小板作用や胃粘膜保護の抑制により出血リスクを高める可能性がある。
VTE患者におけるNSAIDs併用の出血リスクを評価した研究は少なく、 その影響は不明である。
Danish National Patient Registryで2012年1月1日~2022年12月31日にOACを開始したVTE患者5万1,794例を特定し、 NSAIDsの併用と病院で診断された出血エピソードとの間の調整ハザード比 (aHR) を算出した。
NSAIDs非使用期間と比較して、 NSAIDs使用期間では、 経口抗凝固薬 (OAC) の種類に関係なく出血リスクの上昇が認められた。
100人・年当たりの出血イベントの発生率は、 NSAIDs非使用期間で 3.5 (95%CI 3.4-3.7)、 NSAIDs使用期間で6.3 (同 5.1-7.9) であった。
NSAIDsの使用に関連するあらゆる出血のaHRは以下の通りであった。
部位別にみた出血リスクのaHRは下記の通りであった。
著者らは、 「VTE治療中の患者において、 NSAIDsの併用は出血リスクを2倍以上に増加させることが示された。 この出血率の増加は消化管に限定されず、 頭蓋内や他の部位にも及ぶことが確認された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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