海外ジャーナルクラブ
12ヶ月前
Kleinらは、 接種後10年以上が経過した帯状疱疹の生ワクチンの有効性を電子健康記録 (EHR) を用いた実臨床コホート研究で検討した。 その結果、 ワクチン効果は接種から1年間が最も高く、 その後は時間経過とともに大幅に減少するものの、 10年後もある程度の予防効果は残存することが明らかとなった。 本研究は、 BMJ誌において発表された。
ワクチン接種後の実臨床レベルでの効果を検討するのは極めて意義のある研究と言えます。 10年以降は帯状疱疹に対する予防率は低いが、 帯状疱疹後神経痛に対する予防効果は高かったというのは重要です。
米国の統合ヘルスケア提供システムであるKaiser Permanente Northern Californiaの2007年1月1日~2018年12月31日のデータを基に解析した。
帯状疱疹、 帯状疱疹後神経痛、 眼部帯状疱疹、 帯状疱疹による入院の予防におけるワクチンの有効性
150万5,647例のうち、 34% (50万7,444例) が帯状疱疹生ワクチンの接種を受けた。
7万5,135例が帯状疱疹を発症し、 その内の7% (4,982例) が帯状疱疹後神経痛、 6% (4439例) が眼部帯状疱疹を発症し、 0.7% (556例) が帯状疱疹で入院した。 これらのアウトカムに対するワクチンの効果は、 接種後1年間が最も高く、 時間の経過と共に大幅に低下した。
帯状疱疹に対するワクチン効果は、 1年目は67% (95%CI 65-69%) であったが、 10年後には15% (95%CI 5-24%) に減少した。
帯状疱疹後神経痛に対するワクチン効果は、 1年目は83% (95%CI 78-87%) であったが、 10年後には41% (95%CI 17-59%) に減少した。
眼部帯状疱疹に対するワクチン効果は、 接種後1年目は71% (95%CI 63-76%) であったが、 5年以降8年未満には29% (95%CI 18-39%) に減少した。
帯状疱疹による入院に対するワクチンの有効性は、 接種後1年目は190% (95%CI 67-97%) であったが、 5年以降8年未満には53% (95%CI 25-70%) に減少した。
帯状疱疹生ワクチンの効果は接種後1年間が最も有効であり、 その後経時的に低下するが、 10年以降もある程度の効果は残存していた。 10年以降は帯状疱疹に対する予防率は低かったが、 帯状疱疹後神経痛に対する予防効果は高かった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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