海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Brousseらは、 ベネトクラクス (VEN) +アザシチジン (AZA) 併用療法を受けた急性骨髄性白血病 (AML) 患者に対する抗菌薬レボフロキサシン (LVFX) による1次予防投与の有用性について、 後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 発熱性好中球減少症 (FN) 発生率には有意差がなかったものの、 肺炎および腸内細菌科細菌感染症の発生率が減少し、 フルオロキノロン耐性菌の早期増加は認められなかった。 研究結果はOpen Forum Infectious Diseases誌に発表された。
解釈に注意を要する研究です。 テキストの最後には "the current study deserves further investigations in a prospective randomized trial" と書かれており、 これが大切な結論といえます。
AMLに対するVEN+AZA療法は高い寛解率を示すが、 AZA単独療法と比較してFNの発生リスクが高い。
血液悪性腫瘍に対する抗菌薬の予防投与は一般的に推奨されていないが、 VEN+AZA療法を受ける患者では感染症管理が重要となる。
この研究は、 AML患者に用いるLVFXの1次予防効果を評価することを目的とした。
DATAMLレジストリ*¹のデータを用いて、 VEN+AZA療法を受けたAML患者258例を後ろ向きに調査した。
対象患者をLVFX1次予防投与群*²と標準的ケア (SOC) 群に分け、 主要評価項目としてFNの発生率を、 副次評価項目として臨床的・微生物学的に診断された感染症の発生や耐性菌の出現状況を評価した。
予防投与群72例では、 SOC群186例と比べてFN発生率の低下は認められなかった (33.3% vs 37.1%、 p=0.572)。
一方、 VEN+AZA療法10日目からFN発症までの期間は、 予防投与群で有意に延長し (12.5日 vs 8日、 p=0.037)、 肺炎発生率の低下 (1.4% vs 10.2%、 p=0.018) と腸内細菌科細菌感染症発生率の低下 (1.4% vs 9.1%、 p=0.029) を認めた。
フルオロキノロン耐性菌の有意な増加は認めなかった (p=0.142)。
著者らは、 「VEN+AZA療法を受けるAML患者において、 LVFX1次予防投与は、 FN発生率を大きく変えなかったものの、 耐性菌の懸念を増やすことなく、 一部の感染症を減少させる可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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