HOKUTO通信
2日前
「このままでは大学病院はつぶれかねない。 やればやるだけ赤字だ」 ――。 国立大学病院長会議の大鳥精司会長 (千葉大病院長) は記者会見でこう危機感を示し、 診療報酬の引き上げや財政支援を国などに求めた。
同会議によると、 2024年度決算 (速報値) で、 全国42の国立大病院の6割に当たる25病院が赤字となる見通し。 赤字額は25病院に限ると274億円、 42病院全体で213億円を見込む。 23年度の16病院、 26億円の赤字から急激に悪化した。
2018年度と比べると、 医薬品費と光熱費が約40%、 ガーゼや包帯などの材料費が約20%、 人件費が約10%それぞれ上がった。 特に働き方改革に伴い人件費は248億円増と重くのしかかり、 診療報酬の改定による増収分 (全体で111億円) を上回った。
一方、 物価高騰やエネルギー価格上昇・人件費増加などの影響を受けた医療機関に対し、 都道府県を通じて財政支援する国の交付金制度 「重点支援地方交付金」 について、 半数の21病院が交付金ゼロだった。 交付決定済みは21病院計3億8000万円だった。
物価高騰や人件費の増加に対する補填が得られない場合、 人員確保や給与水準の維持など、 医師の待遇面の悪化につながる可能性がある。 同会議は 「働き方改革と矛盾せず研究を犠牲にしない経営改善に向けた取り組みはこれまで以上に必要で、 多方面での財政支援が急務」 と訴えている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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