HOKUTO編集部
28日前
高リスク血液腫瘍に対する同種末梢血幹細胞移植後の移植片対宿主病 (GVHD) 予防において、 移植後シクロホスファミド+シクロスポリン (PTCy/CSA) 併用療法の有効性および安全性を、 標準治療と比較した第III相無作為化比較試験ALLG BM12 CASTの結果から、 GVHDのない無再発生存期間 (GRFS) が有意に改善した。 豪・Alfred HealthのDavid J. Curtis氏らが発表した。 本詳細はN Engl J Med. 2025年6月13日オンライン版に同時掲載された¹⁾。
同種末梢血幹細胞移植を受けた患者におけるGVHD予防の標準治療はシクロスポリンやタクロリムスなどのカルシニューリン阻害薬 (CNI) とメトトレキサートやミコフェノール酸モフェチルなどの代謝拮抗薬の併用である。 過去の報告では、 タクロリムスとミコフェノール酸モフェチルに移植後シクロホスファミド (PTCy) を併用することによるGVHDリスクの低減効果が示唆されている²⁾。
対象は、 適合血縁ドナーからの骨髄破壊的前処置または低強度前処置による同種末梢血幹細胞移植を受ける、 寛解期の急性白血病または骨髄異形成症候群 (骨髄中芽球<20%) の成人患者だった。
134例が以下の2群に1:1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目はGRFS*だった。 副次評価項目は全生存期間 (OS)、 急性/慢性GVHD発生率、 無再発生存 (RFS) 率、 安全性などだった。
患者背景は両群で同様だった。 全体の年齢中央値は55.7歳、 急性骨髄性白血病が61%であり、 約44%が骨髄破壊的前処置を受けていた。
GRFS中央値は、 CSA/MTX群の6.4ヵ月 (95%CI 5.6-8.3ヵ月) に対し、 PTCy/CSA群では26.2ヵ月 (同 9.1ヵ月-NR) と有意に改善した (HR 0.42、 95%CI 0.27-0.66、 p<0.001)。 3年GRFS率はPTCy/CSA群で49%、 CSA/MTX群で14%だった。
2年OS率はPTCy/CSA群で83%、 CSA/MTX群で71%と、 両群で有意差は示されなかったものの、 PTCy/CSA群で良好な傾向が認められた (HR 0.59、 95%CI 0.29-1.19、 p=0.132)。
一方、 2年RFS率は、 CsA/MTX群の59%に対しPTCy/CsA群で74%と有意に改善した(HR 0.55、 同 0.30-1.00、 p=0.045)。
3ヵ月時点での急性GVHDの発生率、 および12ヵ月時点の中等度~重度の慢性GVHD発生率はいずれもPTCy/CSA群で低かった (3ヵ月時急性GVHD発生率 : 3% vs 10%、 12ヵ月時慢性GVHD発生率 : 14% vs 24%)。
移植後<100日の重篤な有害事象の発現率はPTCy/CSA群20%、 CSA/MTX群33%だった。 好中球の生着期間中央値は両群で同様だったが、 血小板の生着期間中央値はPTCy/CSA群でやや遅延した (21日 vs 18日)。
Curtis氏らは 「適合血縁ドナーからのalloPBSCTを受けた患者に対するPTCy/CNIは、 移植後GVHD予防における新たな標準治療となり得る」 と報告した。
¹⁾ N Engl J Med. 2025年6月13日オンライン版
²⁾ N Engl J Med. 2023 Jun;388(25):2338-2348.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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