HOKUTO編集部
9日前

米国臨床腫瘍学会 (ASCO) 2026年次総会が、 2026年5月29日 (金) ~6月2日 (火) に米・シカゴで開催される。 本稿では編集部が事前選定した注目演題のうち、 血液腫瘍に関する5題を、 領域別 (多発性骨髄腫/B細胞リンパ腫/骨髄線維症) に紹介する。
経口セレブロンE3リガーゼモジュレーター (CELMoD) であるmezigdomideを、 カルフィルゾミブ+デキサメタゾン (Kd) に上乗せする有効性と安全性を、 Kd単独と比較する再発・難治性多発性骨髄腫 (RRMM) 対象の第Ⅲ相試験。 主要評価項目はPFSで、 2026年3月にPFSの有意な改善により主要評価項目を達成したことが発表されている。
BCMA×CD3二重特異性抗体テクリスタマブ単剤と、 PVdまたはKdを比較したRRMM対象の第Ⅲ相試験。 対象は1~3レジメンの前治療歴があり、 抗CD38抗体およびレナリドミドの治療歴を有する患者。 2026年1月公表のトップライン結果では、 テクリスタマブ群でPFS (HR 0.29) およびOS (HR 0.60) の有意な改善が報告された。 安全性はCRSや神経学的事象などを含めて評価される。
未治療の高中間リスクまたは高リスクびまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL) を対象に、 抗CD19抗体タファシタマブ+レナリドミド+R-CHOPと、 R-CHOPを比較した第Ⅲ相試験。 2026年1月公表のトップライン結果では、 主要評価項目のPFSおよび主要な副次評価項目のEFSを達成したと報告されている。 安全性については、 新たな安全性シグナルは認められなかったとされる。
CAR-T療法または自家移植に非適応の再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫 (LBCL) を対象に、 CD20×CD3二重特異性抗体モスネツズマブ+ポラツズマブ ベドチンと、 R-GemOx (リツキシマブ+ゲムシタビン+オキサリプラチン) を比較した第Ⅲ相試験。 既報ではモスネツズマブ+ポラツズマブ ベドチン群でORRおよびPFSの改善が報告されている。 安全性については、 CRSや末梢神経障害などを含めて評価される。
JAK阻害薬未治療の骨髄線維症を対象に、 XPO1阻害薬セリネキソル+ルキソリチニブと、 プラセボ+ルキソリチニブを比較した第Ⅲ相試験。 2026年3月公表のトップライン結果では、 24週時点のSVR35達成率は50% vs 28%で、 セリネキソル併用群で有意な改善が報告された。 一方、 もう一つの主要評価項目である絶対総症状スコア (Abs-TSS) の変化量は両群で同程度で、 群間差は有意ではなかった。 安全性については、 血小板減少、 貧血、 悪心などを含めて評価される。
今年のASCOは、 血液腫瘍領域として多発性骨髄腫・B細胞リンパ腫・骨髄線維症の3大疾患から計5題の第Ⅲ相試験が発表される、 まさに 「実装に向けた検証フェーズ」 の年。 多発性骨髄腫ではmezigdomide (SUCCESSOR-2) がレナリドミド耐性後の標準を、 teclistamab単剤 (MajesTEC-9) がbispecific抗体の前線投入を問う。 B細胞リンパ腫ではtafasitamab+レナリドミド (frontMIND) がR-CHOPへの上乗せ価値を、 2L以降ではmosunetuzumab+polatuzumab (SUNMO) がCAR-T非適応例における新標準を問う。 骨髄線維症ではセリネキソル (SENTRY) がルキソリチニブ単剤を超えるベネフィットを、 それぞれ正面から問う設計となっている。
特に注目されるのは、 5試験すべてが 「既存標準への上乗せ/代替」 レジメンを直接比較するhead-to-head設計である点。 実臨床への組み込み判断には、 PFS/OSのハザード比だけでなく、 副作用プロファイル (CELMoDの血液毒性、 bispecific抗体のCRS・神経毒性、 ADCの末梢神経毒性、 セリネキソルの消化器症状・血小板減少) と治療コスト、 国内既承認薬の有無の観点も併せた評価が求められる。
HOKUTOでは各演題のレポートを順次公開予定。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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