海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前
Harndenらは、 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) 投与後に関節痛または炎症性関節炎を呈した患者を対象に、 全身MRIによる炎症パターンの特徴を前向き研究で検討した。 その結果、 ICI関連の筋骨格毒性に3つの主要な画像パターンがみられることが明らかになった。 研究結果はLancet Rheumatology誌に発表された。
全身MRIということですが、 足部や足関節のMRIは撮影していないとのことです。
免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) は癌免疫療法として広く使用されているが、 筋骨格系有害事象 (関節痛、 炎症性関節炎、 リウマチ性多発筋痛症) を引き起こすことがある。 この症状の病態解明は不十分であり、 画像所見に関するデータも限られている。 この研究は、 ICI関連の関節症状に対して全身MRIを用いた画像パターンを明らかにし、 臨床管理に資することを目的とした。
単一施設前向き画像研究である本研究の募集対象は、 ICI投与中または投与後6ヵ月以内に新たな筋骨格系症状を呈した18歳以上の患者と、 リウマチ性自己免疫疾患、 活動性癌、 MRI前4週間の関節痛の既往がない18歳以上の健康対照者であった。 ガドリニウム造影剤を用いた全身MRIを実施し、 関節、 腱、 滑液包、 腱付着部、 脊椎病変を独立した2人の評価者がブラインドで読影し、 MRIパターンが分析された。
患者60例 (関節痛35例、 炎症性関節炎25例) と健康対照者20例が募集された。 患者群の平均年齢は65 (SD 11) 歳、 健康対照群では62 (SD 7) 歳であり、 募集者は全例白人であった。 患者群では、 関節滑膜炎、 骨びらん、 腱付着部炎、 腱鞘炎のスコア中央値が健康対照群と比べて有意に高かった。 炎症性関節炎と関節痛のサブグループ間にスコアの有意差はなかった。
滑膜炎を多く認めた部位は、 肩鎖関節 (77%)、 肩甲上腕関節 (75%)、 手首関節 (73%)、 中手指節関節 (59%) であった。 全体として、 末梢性炎症性関節炎 (37%)、 リウマチ性多発筋痛症 (12%)、 その重複型 (20%) の3つの炎症パターンを確認した。 疾患修飾性抗リウマチ薬が必要となった5例中4例は末梢性炎症性関節炎群に属し、 同群では初期および継続的なグルココルチコイドを必要とした。
著者らは、 「ICI投与後に関節痛を呈した患者は、 炎症性関節炎を呈した患者と同等のMRI上の炎症およびびらんを示すことが明らかとなった。 この結果は、 ICIに関連する筋骨格系毒性の全体的な負担が現在過小評価されていることを示唆している」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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