HOKUTO編集部
2ヶ月前
切除可能NSCLCに対する抗PD-1抗体ニボルマブによる周術期投与において、 術後ニボルマブの上乗せ効果を、 第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験CheckMate 77Tと第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験CheckMate 816の患者データを用いた傾向スコア重み付けを用いて解析した結果、 ニボルマブの術前・術後投与は術前投与のみと比較し、 術後再発または死亡リスクが約40%低減することが示された。 米・Johns Hopkins MedicineのPatrick M. Forde氏が発表した。
CheckMate 816試験では、 術前ニボルマブ+化学療法は術前化学療法単独と比較し、 無イベント生存期間 (EFS) および病理学的完全奏効 (pCR) 率を有意に改善した¹⁾。 現在、 術前ニボルマブ+化学療法は、 切除可能非小細胞肺癌 (NSCLC) に対し、 免疫療法を含む術前療法として唯一承認されている。
またCheckMate 77T試験では術前ニボルマブ+化学療法および術後ニボルマブがプラセボと比較しEFSとpCR率を有意に改善した²⁾。 本試験では、 ニボルマブの周術期投与における術後ニボルマブ追加の有効性および安全性を評価するために、 両試験の患者データを解析した。
今回の試験では、 術前ニボルマブ+化学療法を最大4サイクル実施後に手術を受け、 最低1回以上の術後ニボルマブを投与されたCheckMate 77Tの患者139例と、 術前ニボルマブ+化学療法を3サイクル実施後に手術を受けたCheckMate 816試験の患者147例を対象とした。
傾向スコアの逆数を用いた逆確率重み付け法 (IPTW) により、 ベースラインの患者背景と疾患特性を試験集団間で調整した。 探索的傾向スコア重み付け解析(治療群の平均処理効果 [ATT] および全集団の平均処理効果 [ATE] ) を実施し、 無作為化比較試験の簡易的な再現を行った。
評価項目は全集団 (重み付けあり、 重み付けなし) およびPD-L1発現、 臨床病期、 pCRの状態によるサブグループ (重み付けなし) における最終手術時点からのランドマーク解析のEFS、 安全性だった。
傾向スコアによる重み付け後の患者背景は両群で概ね同様だった。
臨床病期の割合は、 StageⅠB~Ⅱが35~37%、 Stage Ⅲ non-N2が16~24%、 Stage Ⅲ N2は40~47%だった。 また扁平上皮癌は46~50%、 PD-L1発現≧1%は50~58%だった。
追跡期間中央値は、 CheckMate 77T試験 (周術期群) が33.3ヵ月、 Checkmate 816試験 (術前群) が29.5ヵ月だった。 周術期群は術前群に比べて手術時からのEFSが改善した。
手術時からのEFS
pCRの有無、 PD-L1の発現度、 臨床病期にかかわらず、 周術期群のEFSは改善を示した。 特にpCR未達成患者におけるEFSは良好な傾向にあった。
pCR状態別のEFS
PD-L1発現別のEFS
臨床病期別のEFS
Grade3~4の治療関連有害事象 (TRAE) は周術期群で27%、 術前群で35%に発現した。 治療中止に至ったTRAEはそれぞれ6%、 5%だった。 手術関連AEはそれぞれ11%、 12%だった。
Forde氏は 「切除可能NSCLCに対し、 術前・術後のニボルマブ投与は、 術前のみの投与に比べ、 手術後の再発または死亡リスクが約40%低減し、 PD-L1<1%またはpCR未達成の患者では特に良好な改善傾向が認められた。 また、 周術期ニボルマブ投与の安全性プロファイルは管理可能であった。 本試験の結果より、 術前ニボルマブ+化学療法後の術後ニボルマブの有用性が示唆された」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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