【BMJ】NCCNガイドライン推奨の分子標的薬、臨床的有用性が高いのは約1/8
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海外ジャーナルクラブ

2ヶ月前

【BMJ】NCCNガイドライン推奨の分子標的薬、臨床的有用性が高いのは約1/8

【BMJ】NCCNガイドライン推奨の分子標的薬、臨床的有用性が高いのは約1/8
Tibauらは、 National Comprehensive Cancer Network (NCCN) が推奨するゲノム標的癌治療薬とその分子標的の臨床的有用性および有効性を横断研究で検討した。 その結果、 固形癌に対するゲノム標的癌治療のうち、 患者に対して高い有用性があるのは約1/8であり、 約1/3は有望ではあるが有益性はいまだ証明されていないことが明らかとなった。 本研究は、 BMJ誌にて発表された。 

📘原著論文

Clinical value of guideline recommended molecular targets and genome targeted cancer therapies: cross sectional study. BMJ. 2024 Aug 20:386:e079126. PMID: 39164034

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

ガイドラインの2%はESCATでレベルXに分類され、 "lack of evidence"*とのことです。

*臨床的有益性を証明するデータが不足しており、 NCCNの推奨の中でも特に有効性に疑問がある

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NCCNガイドライン最新解説

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慢性骨髄性白血病

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背景・目的

NCCNのGL推奨治療の臨床的有用性は十分に解明されていない

ゲノム標的治療は、 癌治療において重要な役割を果たしており、 特にNCCNガイドラインで推奨される治療法が臨床で広く使用されている。 しかし、 これらの治療の臨床的有用性については、 まだ十分に理解されていない部分がある。

そこで本研究では、 NCCNが推奨するゲノム標的治療薬の臨床的有用性を評価することを目的とした。

研究デザイン

ゲノム標的癌治療薬に関する411の推奨を、 ESCAT・ESMO-MCBSで評価

50のドライバー変異を標的とする74のゲノム標的癌治療薬に関する、 411の推奨が調査された。

分子標的薬の有効性はESCAT、 ゲノム標的癌治療薬の臨床的有用性はESMO-MCBSを用いて評価した。

ESCAT
European Society for Medical Oncology (ESMO) -Scale for Clinical Actionability of Molecular Targetsの略。 癌治療における分子標的薬の有効性を評価するフレームワーク。 エビデンスに基づき、 レベルI~Xの10段階に分類される。
レベルIは最もエビデンスが強く、 治療に有効とされるものを指す。 レベルXは臨床的にエビデンスが不足しているため、 治療の選択肢として推奨されない。
ESMO-MCBS
ESMO- Magnitude of Clinical Benefit Scaleの略。 抗癌薬の臨床的な有益性を評価するために開発されたスケール。 効果・有害事象・QOLに基づいて治療の有効性を評価する。 非治癒目的の治療において、 実質的な臨床的利益性を示すものをGrade 4または5とする。

実質的な臨床的有用性 (ESMO-MCBS Grade 4~5) を示し、 ESCATカテゴリーレベルIに該当する分子標的を有する薬剤を 「有益性の高い治療」、 ESMO-MCBSがGrade 3でESCATカテゴリーレベルIに該当する分子標的を有する薬剤を 「有望ではあるが、 有用性は証明されていない治療」 と分類した。

結果

複数相の臨床試験に基づく推奨は84%、 主要評価項目は78%が全奏効率

推奨の根拠

対象となった推奨のうち、 84% (346/411試験) はさまざまな相の臨床試験に基づいていたが、 16% (65/411試験) は症例報告や前臨床試験のみに依存していた。

主要評価項目

臨床試験の78% (271/346試験) は全奏効率を主要評価項目としており、 3% (12/346試験)が生存率を主要評価項目としていった。

ESCATのレベルIは60%、 ESMO-MCBSのGrade 4~5は12%

ESCAT

ESCATのレベルIに該当するのは60% (246/411試験)、 レベルⅡまたはⅢは35% (142/411試験中)、 レベルⅣ~Xは6% (23/411試験) であった。

ESMO-MCBS

ESMO-MCBSでGrade 4~5の実質的な臨床的有用性を示したのは12% (32/267試験)、 グレード3は45% (121/267試験) であった。

約1/8が高い有用性、 約1/3は有望ではあるが有用性は証明されず

ESCATおよびESMO-MCBSを組み合わせた評価の結果、 約1/8 (12%、 32/267試験) の試験が高い有益性を示し、 約1/3 (33%、 88/267試験) が有望ではあるが有用性は証明されていないと評価された。

推奨の半数が高い有益性or有望

NCCNガイドラインが好ましいとして支持する118個の介入のうち、 53% (62個) が 「高い有用性を有する治療」、 または 「有望であるが証明されていない有用性を有する治療」 の2つに分類された。

結論

NCCNの推奨が臨床的有用性と一致しているかどうかの確認が重要

著者らは、 「NCCNが推奨するゲノム標的治療のうち、 約1/8が患者に高い有用性を提供する可能性がある一方で、 約1/3の治療法は有望ではあるが有用性はまだ証明されていないことが明らかになった。 この結果は、 NCCNの推奨が期待される臨床的利益と一致しているかどうかを確認することは、 エビデンスに基づいた治療決定において極めて重要であることを示唆している」 と述べている。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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