【JAMA】検診の有効性評価、 進行癌の発症率は代替エンドポイントとなり得る?
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海外ジャーナルクラブ

4ヶ月前

【JAMA】検診の有効性評価、 進行癌の発症率は代替エンドポイントとなり得る?

【JAMA】検診の有効性評価、 進行癌の発症率は代替エンドポイントとなり得る?
Fengらは、 癌検診についての無作為化比較試験のメタアナリシスを実施し、 エンドポイントとして 「癌特異的死亡率」 と 「ステージⅢ~Ⅳの癌発生率」 を比較した。 その結果、 癌種によって癌特異的死亡率の低下とステージⅢ~Ⅳの癌の発生率との相関が異なった。 本研究はJAMAにおいて発表された。 

📘原著論文

Cancer Stage Compared With Mortality as End Points in Randomized Clinical Trials of Cancer Screening: A Systematic Review and Meta-Analysis. JAMA. 2024 Apr 7:e245814. Online ahead of print. PMID: 38583868

👨‍⚕HOKUTO監修医コメント

癌スクリーニング研究において、 癌特異的死亡率の代替エンドポイントにstageⅢ~Ⅳの癌発生率がなり得るかどうかが 「癌種によって異なる」 理由として、 癌の進行の速さが挙げられています。


癌発生率を代替エンドポイントとすると試験完了が早まる可能性

癌検診についての無作為化比較試験では通常、 癌特異的死亡率を主要評価評価項目としている。 ステージⅢ~Ⅳの癌の発生率を代替エンドポイントとすることで、 試験の完了を早める可能性がある。 そこで、 癌検診の無作為化比較試験におけるエンドポイントとして、 癌特異的死亡率とステージⅢ~Ⅳの癌の発生率を比較した。

癌検診の試験をメタアナリシス

対象・方法

癌検診の無作為化比較試験41件を対象としたメタアナリシス

2024年2月19日までに公表された、 欧州、 北米、 アジアで実施された試験。 抽出したデータは、 介入群と比較群それぞれの参加者数、 癌診断数、 癌死亡数

介入

癌検診の臨床試験においては、 癌検診群または比較群に無作為化

主要評価項目

エンドポイントとしての 「癌特異的死亡率」 と 「ステージⅢ~Ⅳの癌の発生率」

ピアソン相関係数とその95%信頼区間、 線形回帰、 メタアナリシス (固定効果モデル) を用いて比較

通常のエンドポイントとの相関は癌種により相違

メタアナリシスに含めた試験

検診によるベネフィットを検討した、 以下の癌種の無作為化比較試験を含めた。

  • 乳癌 (6試験)
  • 大腸癌 (11試験)
  • 肺癌 (12試験)
  • 卵巣癌 (4試験)
  • 前立腺癌 (4試験)

癌特異的死亡率低下/癌発生率低下の相関

「癌特異的死亡率の低下」 と 「ステージⅢ~Ⅳの癌発生率の低下」 との相関は、 癌種によって異なった。

I²=65%、 p=0.02

最も強い相関

卵巣癌

Pearson ρ=0.99 (95%CI 0.51-1.00) 

肺癌 

Pearson ρ=0.92 (95%CI 0.72-0.98) 

中程度の相関

乳癌 

Pearson ρ=0.70 (95%CI -0.26~0.96) 

弱い相関

大腸癌 

Pearson ρ=0.39 (95%CI -0.27~0.80) 

前立腺癌 

Pearson ρ =-0.69 (95%CI -0.99~0.81) 

線形回帰直線の傾き

  • 卵巣癌 : 1.15
  • 肺癌 : 0.75
  • 大腸癌 : 0.40
  • 乳癌 : 0.28
  • 前立腺癌 : -3.58

以上より、 ステージⅢ~Ⅳの癌発生率低下量が一定でも、 癌特異的死亡率の変化量は異なることが示唆される。

異質性のp=0.004

癌種により代替エンドポイントに

著者らは 「癌検診に関する無作為化試験において、 ステージⅢ~Ⅳの癌発生率は、 癌種によっては癌特異的死亡率の代替エンドポイントに適するかもしれないが、 他の癌種では適さない」 と結論にて述べている。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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