海外ジャーナルクラブ
6ヶ月前
Fengらは、 癌検診についての無作為化比較試験のメタアナリシスを実施し、 エンドポイントとして 「癌特異的死亡率」 と 「ステージⅢ~Ⅳの癌発生率」 を比較した。 その結果、 癌種によって癌特異的死亡率の低下とステージⅢ~Ⅳの癌の発生率との相関が異なった。 本研究はJAMAにおいて発表された。
癌スクリーニング研究において、 癌特異的死亡率の代替エンドポイントにstageⅢ~Ⅳの癌発生率がなり得るかどうかが 「癌種によって異なる」 理由として、 癌の進行の速さが挙げられています。
癌検診についての無作為化比較試験では通常、 癌特異的死亡率を主要評価評価項目としている。 ステージⅢ~Ⅳの癌の発生率を代替エンドポイントとすることで、 試験の完了を早める可能性がある。 そこで、 癌検診の無作為化比較試験におけるエンドポイントとして、 癌特異的死亡率とステージⅢ~Ⅳの癌の発生率を比較した。
癌検診の無作為化比較試験41件を対象としたメタアナリシス
癌検診の臨床試験においては、 癌検診群または比較群に無作為化
エンドポイントとしての 「癌特異的死亡率」 と 「ステージⅢ~Ⅳの癌の発生率」
検診によるベネフィットを検討した、 以下の癌種の無作為化比較試験を含めた。
「癌特異的死亡率の低下」 と 「ステージⅢ~Ⅳの癌発生率の低下」 との相関は、 癌種によって異なった。
I²=65%、 p=0.02
最も強い相関
卵巣癌
Pearson ρ=0.99 (95%CI 0.51-1.00)
肺癌
Pearson ρ=0.92 (95%CI 0.72-0.98)
中程度の相関
乳癌
Pearson ρ=0.70 (95%CI -0.26~0.96)
弱い相関
大腸癌
Pearson ρ=0.39 (95%CI -0.27~0.80)
前立腺癌
Pearson ρ =-0.69 (95%CI -0.99~0.81)
以上より、 ステージⅢ~Ⅳの癌発生率低下量が一定でも、 癌特異的死亡率の変化量は異なることが示唆される。
異質性のp=0.004
著者らは 「癌検診に関する無作為化試験において、 ステージⅢ~Ⅳの癌発生率は、 癌種によっては癌特異的死亡率の代替エンドポイントに適するかもしれないが、 他の癌種では適さない」 と結論にて述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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