海外ジャーナルクラブ
12ヶ月前
藤原氏らは、 周術期固形癌患者を対象に、 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) を治療に追加する場合の治療関連有害事象 (TRAE) について、 約1万7,000例の各国のデータを用いたシステマティックレビュー解析により算出した。 その結果、 周術期療法におけるICIの追加は、 Grade3~4のTRAEおよび治療中止に至った有害事象 (AE) の発現増加と関連していた。 本研究はLancet Oncolにおいて発表された。
本研究は、安全性の担保が重要視される術前・術後の周術期治療において、免疫チェックポイント阻害薬を従来の周術期治療に加えることがどのように有害事象頻度に影響を与えるかを解析しました。研究成果は日常診療でのがん患者さんへの情報提供に役立つと共に、今後は重篤な有害事象のリスク因子の同定や、有害事象の発生と周術期治療成績との関連性を解明する研究が期待されます。 (ロズウェルパーク総合がんセンター 血液・腫瘍内科 藤原裕先生)
日本人研究者の素晴らしい研究成果で、術前/術後化学療法として免疫チェックポイント阻害薬の追加による安全性のメタアナリシスです。 安全性については現状では有効性より、 より多くの研究が行われるべきと個人的には考えます。
癌治療の新しい選択肢として近年ICIが注目されている。 同薬は、 固形癌の周術期に術前/術後化学療法として投与することで臨床転帰が改善されるという報告はあるが、 AEの発生頻度が少ないため、 副作用リスクを詳細に評価できていなかった。
固形癌患者 1万6,976例
システマティックレビューおよびメタ解析
治療関連死亡 (TRM) の発現率
治療中止に至ったAEの発現率、 Grade3~4のTRAEの発現率
周術期治療におけるICIの追加は、 TRMの発生率の増加とは有意に関連しなかった。
OR 1.76 (95%CI 0.95-3.25)、 p=0.073
ただし、 TRMは増加傾向にあり、 その原因として肺炎、 心筋炎、 腸炎などが特定された。
Grade 3~4のTRAEの発生率は有意に増加した。
OR 2.73 (95%CI 1.98-3.76)、 p<0.0001
治療中止に至ったAEは有意に増加した。
OR 3.67 (95%CI 2.45-5.51)、 p<0.0001
周術期療法におけるICIの追加は、Grade3~4のTRAEおよび治療中止に至るAEの発現の増加と関連しており、 周術期におけるAE管理の重要性が示唆された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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