【NEJM】搬送前のトラネキサム酸投与は重症外傷患者の転帰改善につながらず
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【NEJM】搬送前のトラネキサム酸投与は重症外傷患者の転帰改善につながらず

【NEJM】搬送前のトラネキサム酸投与は重症外傷患者の転帰改善につながらず
Gruenらは、 重症外傷による凝固障害が疑われ高度外傷システムで治療を受けている患者を対象に、 医療機関搬送前のトラネキサム酸投与の効果を無作為化比較試験で検討。 その結果、 トラネキサム酸の搬送前投与は6カ月後の良好な機能的転帰を伴う生存に有意な影響を及ぼさなかった。 本研究はNEJM誌において発表された。

📘原著論文

Prehospital Tranexamic Acid for Severe Trauma. N Engl J Med. 2023 Jul 13;389(2):127-136.PMID: 37314244

👨‍⚕️監修医師のコメント

トラネキサム酸のプレホスピタル投与は機能予後回復は難しいですが、 本研究でも死亡転帰は改善しそうなので外傷診療においてはやはり有用な治療薬の1つです。


背景

トラネキサム酸の医療機関搬送前投与が、 外傷による凝固障害が疑われ高度外傷システムで治療を受けている患者において、 良好な機能的転帰で生存する可能性を高めるかどうかは不明である。

研究デザイン

対象

重症外傷による凝固障害が疑われ、 高度外傷システムで治療を受けている患者

介入

患者を以下の群に無作為に割り付け

  • トラネキサム酸群:661例
トラネキサム酸を入院前に1gをボーラス投与し、 その後病院到着後8時間かけて1gを点滴投与
  • プラセボ群:646例

主要評価項目

受傷後6カ月時点での良好な機能的転帰を伴う生存 (GOS-Eレベル5以上)

副次評価項目

受傷後28日と6カ月時点の全死因死亡

研究結果

主要評価項目

  • トラネキサム酸群:53.7% (572例中307例)
  • プラセボ群:53.5% (559例中299例)
  • RR 1.00、 95%CI 0.90-1.12、 P=0.95

副次評価項目

受傷後28日目時点の全死因死亡

  • トラネキサム酸群:17.3% (653例中113例)
  • プラセボ群:21.8% (637例中139例)
RR 0.79、 95%CI 0.63-0.99

6カ月時点の全死因死亡

  • トラネキサム酸群:19.0% (648例中123例)
  • プラセボ群:22.9% (629例中144例)
RR 0.83、 95%CI 0.67-1.03

安全性評価

血管閉塞性事象を含む重篤な有害事象の数は両群間で有意差はなかった。

結論

外傷誘発性凝固障害が疑われ、 高度外傷システムで治療を受けている成人の外傷患者において、 トラネキサム酸の医療機関搬送前投与とその後の8時間にわたる点滴は、 プラセボと比較して、 6カ月時点における良好な機能的転帰で生存している患者数を増加させることはなかった。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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