【NEJM】MASHの症状改善にsurvodutideが有望
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海外ジャーナルクラブ

3ヶ月前

【NEJM】MASHの症状改善にsurvodutideが有望

【NEJM】MASHの症状改善にsurvodutideが有望
Sanyalらは、 線維化の進行を伴わないmetabolic dysfunction associated steatohepatitis (MASH)*患者を対象に、 グルカゴン受容体+GLP-1受容体の二重作動薬survodutideの有効性と安全性を第Ⅱ相無作為化試験で検討した。 その結果、 survodutideがMASHの改善において有望であることが明らかとなった。 本研究はNEJM誌において発表された。 
* : 2023年6月、 欧州肝臓学会らは非アルコール性脂肪肝炎 (non-alcoholic steatohepatitis: NASH) の病名をmetabolic dysfunction associated steatohepatitis (MASH) に変更することを発表した。 MASHの日本語訳は、 日本消化器病学会と日本肝臓学会で現在検討中である。

📘原著論文

A Phase 2 Randomized Trial of Survodutide in MASH and Fibrosis. N Engl J Med. 2024 Jun 7. PMID: 38847460

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

本研究の大変面白い点は、 試験薬剤のsurvodutideを2.4、 4.8、 6.0mgの3つの用量で振っていることと、 これにプラセボを置いていることです。 本研究ではプラセボが15%程度の効果を示していますが、 どのような試験でも大体10~15%程度の効果を認めることが多いです。

🔢関連コンテンツ

FIB-4 index

肝線維化のリスク評価

NAFLD線維化スコア (NFS)

非アルコール性脂肪性肝疾患の肝線維化リスク

Survodutideの有効性・安全性は不明 

グルカゴン受容体とGLP-1受容体の二重作動薬は、 MASHの治療においてGLP-1受容体作動薬単独よりも有効である可能性がある。 しかし、 MASHおよび肝線維症患者におけるsurvodutideの有効性と安全性はいまだ不明である。

用量別に有効性・安全性を検討

対象

生検でMASHが確認され、 線維化ステージがF1~F3の成人患者

介入

患者は以下の群に1:1:1:1の割合で無作為に割り付けられた。

  • Survodutide 2.4mg群 : 73例
  • Survodutide 4.8mg群 : 72例
  • Survodutide 6.0mg群 : 74例
  • プラセボ群 : 74例
* : 各群ともに週1回皮下投与

主要評価項目

線維化の進行を伴わないMASHの組織学的改善*

* : NAFLD活動性スコアが2ポイント以上減少し、 小葉内炎症または肝細胞の風船様変性が1ポイント以上減少

副次評価項目

肝脂肪量が30%以上低下、 かつ生検評価による1stage以上の線維化の改善 (軽減)

SurvodutideはMASHを改善

有効性評価

線維化の進行を伴わないMASHの組織学的改善

  • Survodutide 2.4mg群 : 47%
  • Survodutide 4.8mg群 : 62%
  • Survodutide 6.0mg群 : 43%
  • プラセボ群 : 14%
最適適合モデルとしての二次線量反応曲線のp<0.001

肝脂肪率が30%以上低下した患者の割合

  • Survodutide 2.4mg群 : 63%
  • Survodutide 4.8mg群 : 67%
  • Survodutide 6.0mg群 : 57%
  • プラセボ群 : 14%

線維化が1stage以上改善した患者の割合

  • Survodutide 2.4mg群 : 34%
  • Survodutide 4.8mg群 : 36%
  • Survodutide 6.0mg群 : 34%
  • プラセボ群 : 22%

安全性評価

発生頻度が高かった有害事象*

* : プラセボ群よりsurvodutide群で頻度が高かった事象を示す

悪心

  • Survodutide群 : 66%
  • プラセボ群 : 23%

下痢

  • Survodutide群 : 49%
  • プラセボ群 : 23%

嘔吐

  • Survodutide群 : 41%
  • プラセボ群 : 4%

重篤な有害事象の発現率

  • Survodutide群 : 8%
  • プラセボ群 : 7%

第Ⅲ相試験でのさらなる検討が必要

著者らは、 「Survodutideは、 線維化を悪化させることなくMASHを改善させるという点においてプラセボよりも優れていた。 第Ⅲ相試験でのさらなる検討が必要である。 」 と述べている。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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