HOKUTO編集部
6ヶ月前
2025年3月6~8日に神戸コンベンションセンターにて第22回日本臨床腫瘍学会学術集会 (JSMO 2025) が開催されました。 本稿では高知医療センター初期臨床研修医の難波伶至先生に、 研修医・医学生の活動を中心に学会の雰囲気を紹介いただきました。
日本臨床腫瘍学会に入会を希望される方は、下記より入会手順をご確認ください。
2025年3月6日から3日間の日程で、 徳島大学大学院消化器内科学分野教授の高山哲治先生を大会長にJSMO 2025が開催されました。
私は学生時代からがん診療に興味を持っており、 神戸コンベンションセンターにて現地参加しました。 研修医の私からみた本学会の印象を医学生・研修医の活動を中心にご報告します。
JSMOはがん領域における国際学会の一つで、 最新の知見に関する演題が多く発表され、 世界各国から多数の参加者が集まります。
学生や研修医には少しハードルが高いようにも思えますが、 医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー (MOS) が開催されるため、 安心して参加できます。
今回のMOS (MOS 2025春) は学会3日目に開催され、 約50人の参加者が集まりました。 参加募集開始後すぐに満席になったとのことで、 その人気が伺えます。
日本臨床腫瘍学会専門医部会長である高野利実先生の 「腫瘍内科の未来を作るのは皆さんです!」 の掛け声とともにスタートしました。
まず若手の先生方から、 大学病院、 市中病院、 がんセンターのそれぞれでの研修環境やキャリア形成について基調講演がありました。 各施設での環境や特徴の違いはありながらも、 がん診療の魅力や奥深さについて語られました。
フロアからは率直な質問や不安なことの相談などがあり、 がん診療に興味を持ち進路として検討している学生が多くいることが伺えました。
さらに6~7人ずつのグループに分かれ、 症例シナリオを通じて原発不明がんの診療をグループワーク (GW) 形式で体験しました。
がん診療に関するグループワークというと 「薬やレジメンに詳しくないといけないのではないか?」 という不安もよぎります。 しかし、 実臨床の第一線で活躍されているファシリテーターの先生のお力を借りつつ和気藹々と進めますので、 その点は心配がなく低学年の学生も大活躍でした!
さらに高野先生から 「これからが本番です」 とのひと笑いを誘うご挨拶で、 懇親会 (飲み会) がオシャレな会場で始まりました。
参加者、 ファシリテーターの先生との間で、 がん診療や腫瘍内科に関する熱い話、 それに限らないざっくばらんな話で大いに盛り上がりました!何より学生や研修医同士で、 全国的な交流を持てることも大きな魅力です。
MOS参加者は 「がん診療に関わるさまざまな診療科に興味を持つ人」 から 「将来は未定だけど進路を考えるために参加した人」 まで、 腫瘍内科に興味を持っている人に限らず動機はさまざまです。 例年、 学生には交通費の補助がありますので気軽に参加してみてください!
JSMO 2025ではMOS以外でも、 学生・研修医の活動が多くみられました。
特にキャリアエンパワーメント委員会企画で行われたセッションでは、 昨年 (2024年) の夏に滋賀で行われたMOS参加者の有志で結成した学生・研修医のワーキンググループが独自に行った調査結果で、 腫瘍内科の志望に関する現状、 AI利用の実態調査など先行データのない情報が示されました。
医学生・研修医の3割以上が腫瘍内科を将来の選択肢に含めており、 今後のニーズの高さが期待される一方、 腫瘍内科を標榜する職場の少なさに懸念があることが明らかとなりました。
また、 医学生・研修医の95%以上にAIの利用経験があることも示され、 若年層におけるAIの急速な普及も印象的でした。
フロアにいた学生や研修医からも多数の質問があり、 腫瘍内科医を増やす方法やAIとの協働に関するディスカッションで会場は白熱していました!
また、 高知大学呼吸器・アレルギー内科学講座教授の上月稔幸先生と、 その場にいた学生・研修医の間でキャリアに関する議論が始まる場面もあり、 会場の隅々まで熱気がありました。
JSMO2025では、 学生など非常に若い世代の活躍が多くみられました。 腫瘍内科医の増加、 そしてがん診療のさらなる盛り上がりを予感させる機会となったように思います。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。