【NEJM】敗血症性ショック患者への輸液制限、 転帰に差なし
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【NEJM】敗血症性ショック患者への輸液制限、 転帰に差なし

【NEJM】敗血症性ショック患者への輸液制限、 転帰に差なし
Shapiroらは、 敗血症性ショックの患者を対象に、 早期の輸液制限の効果を非盲検優越試験で検討。 その結果、 90日時点までの退院前の全死因死亡率において、 輸液制限群と非輸液制限群の間に有意差はなかった。 本研究はNEJM誌において発表された。

📘原著論文

Early Restrictive or Liberal Fluid Management for Sepsis-Induced Hypotension. N Engl J Med. 2023 Jan 21. doi: 10.1056/NEJMoa2212663. PMID: 36688507

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

Hb値にしても目標血圧にしても、 今回の輸液量にして従来群と制限群のRCTとした場合、 至適valueは実際の2群の観察値の真ん中あたりにあるのでは、 といつも感じています。 今回であれば6時間輸液量が500ml vs. 2300mlですので、 至適輸液量はその真ん中くらいにあるのかもしれません。

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背景

敗血症患者の早期蘇生には輸液と血管作動薬がよく用いられるが、 その投与に優先順位をつけるための比較データは限られている。

研究デザイン

介入

敗血症性ショックの患者を以下の2群に無作為に割り付けた。

  • 24時間輸液制限群:782名
(血管作動薬を優先し、 輸液量を少なくする)
  • 非輸液制限群:781名
(血管作動薬使用前に大量の輸液を優先する)

主要評価項目

90日時点までの退院前の全死因死亡率

研究結果

患者背景

24時間のプロトコル期間中に行われた蘇生療法は両群で異なり、 輸液制限群は非輸液制限群よりも静脈内輸液が少なく (中央値の差、 -2134mL、 95%CI -2318〜-1949)、 昇圧薬の早期使用、 使用頻度、 使用期間がより長かった。

90日時点までの退院前の全死因死亡率 (P=0.61)

輸液制限群:14.0% (109名)

非輸液制限群:14.9% (116名)

(推定差:-0.9%、 95%CI -4.4-2.6)

安全性評価

重篤な有害事象の数は、 両群で同程度であった。

結論

敗血症性ショックの患者において、 この試験で用いられた輸液制限は、 90日目までの死亡率を非輸液制限より有意に低く (または高く) することはなかった。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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