インタビュー
11日前

誰しも立ち止まり、 迷い、 そして踏み出した人生の瞬間がある。 医師の原点や転換点にフォーカスするインタビュー企画 「Doctor’s Career」。 今回は、 日本生命病院 (大阪市) 臨床研修部長で救急総合診療科副部長の宇都佳彦先生に話を聞いた。 (全3回の第2回)
>>第1回はコチラ
外科への関心は残っていたが、 最終的に選んだのは内科だった。
「僕は少しビビリなんです。 メスを持つ自分のイメージがどうしてもしっくりきませんでした」
ただ、 八尾徳洲会総合病院 (大阪府) での初期研修が終わる頃になっても、 専門を決めることができなかった。

上級医に相談したところ、 「どうせ40年医者をやるのだから、 最初の10年は全部やってみたらいい」 とアドバイスされた。 その言葉に背中を押され、 専攻医では内科を幅広くローテーションする道を選んだ。
循環器9ヵ月、 消化器9ヵ月、 呼吸器3ヵ月、 総合内科3ヵ月。 2年間、 内科を幅広く経験した。
「どの科も面白いと思いました。 でも同時に怖さも見えてきたのです」

循環器内科ではカテーテル治療中に患者の状態が悪化し、 頭が真っ白になった。 消化器内科では内視鏡中の出血、 呼吸器内科では気管支鏡中の呼吸状態悪化も経験した。
「侵襲のある医療は自分には向いていないのではないかと感じました」
経験を積むほど、 自分に向いていないことが増えていったという。
医師5年目、 日本生命病院 (大阪市) へ移り、 総合内科に配属。 糖尿病、 膠原病を中心に腎臓、 血液など内科全般を経験した。
「幅広く診られるようになりました。 ただ、 これという専門がなく、 中途半端ではないかと悩んだこともありました」

「サッカーのPK戦では一度も蹴ったことがないんです。 医師になってからも侵襲の大きい検査や治療には踏み出す度胸がありませんでした」
こうした自分の 「弱み」 を認識しつつ、 どう存在意義を出していくかーー。 悩んだ末に見つけたのが、 「総合内科」 という場所だった。
日本生命病院は高度な専門医が多い。 循環器内科はカテーテル、 消化器内科は内視鏡。 それぞれの分野で強みを持つ医師がいる。
「でも、 専門の先生がカバーしきれない隙間がある。 そこを埋める役割を担えれば、 専門性がないという弱みを強みに変えられると考えました」

近年、 ドラマでも取り上げられるようになった総合診療医。 しかし、 日本ではまだ数の少ない領域だ。 全国の総合診療をする医師たちのオンライン勉強会に参加すると、 他の病院にも自分と似たような先生がいて、 自分よりももっと頑張っていることが画面越しに伝わってきた。
「自分だけではなかったと分かり、 正直少しホッとしました」
総合診療では、 どの科にかかればよいか分からない患者や、 診断がつかず困っている患者を診ることが多い。
「そういう患者さんを診るのは楽しいです。 いろいろな診療科を経験してきたことで、 広く浅く知識が身についていることが生きています」


編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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