HOKUTO編集部
15日前
切除可能な局所進行ESCCの術前療法として、 化学療法+抗PD-1抗体sintilimab、 化学放射線療法 (CRT) +sintilimab、 およびCRT単独の有効性について3群間で比較評価した第Ⅲ相無作為化比較試験SCIENCEの予備解析結果より、 sintilimab+CRTおよびCRT単独は化学療法+sintilimab併用に比べ、 手術合併症を増加させずにpCR率を改善した。 中国・University of Electronic Science and Technology of ChinaのXuefeng Leng氏が発表した。
東アジアでは、 術前化学放射線療法 (nCRT) または術前化学療法 (nCT) が切除可能な局所進行食道扁平上皮癌 (ESCC) の標準治療とされる。 しかし、 最適な術前治療戦略は依然として不確定である。
本試験は、 切除可能な局所進行ESCCにおいて、 nCRTおよびnCTへのsintilimab上乗せと、 nCRT単独の有効性を比較評価することを目的に行われた第Ⅲ相試験である。
18~75歳で、 前治療歴のない切除可能な局所進行ESCC(cT1N2-3M0 または cT2-4aN0-3M0)が対象とされた。
146例を以下の3群に1 : 1 : 1で割り付け、 sintilimab+化学療法またはCRTをCRT単独と比較評価した。
術前療法の6~8週後に手術を実施し、 術後療法としてR0切除かつ病理学的完全奏効 (pCR) が得られた場合は経過観察、 pCRでない場合はsintilimabの追加投与を行い、 R0切除でない場合は集学的治療を行った。
主要評価項目は、 pCR率と無イベント生存期間 (EFS) だった。
副次的評価項目は、 奏効率 (ORR)、 病勢コントロール率 (DCR)、 R0切除率、 病理学的奏効 (MPR)、 安全性だった。
年齢中央値、 性別、 喫煙歴などは3群間で概ねバランスが取れていた。
T3はSint+化学療法群87.0%、 Sint+CRT群97.8%、 CRT単独群94.5%であり、 ステージⅢは順に82.6%、 64.4%、 70.9%であった。 腫瘍部位は各群ともおよそ半数が中胸部食道であった。
pCR率は以下の通りだった。
Sint+化学療法群と比較したオッズ比 (OR) は、 Sint+CRT群が10 (p<0.0001)、 CRT単独群が6 (p=0.0005) と、 両群とも有意にpCR率が高かった。
手術は3群とも全例に実施され、 手術時間の平均値はSint+化学療法群4.4時間、 Sint+CRT群4.6時間、 CRT単独群4.2時間で、 R0切除率は3群とも100%であった。
術後合併症として、 縫合不全がそれぞれ0% / 2.2% / 5.5%に、 肺炎が67.4% / 44.4% / 47.3%に発生した。
主なGrade3以上の治療中に発現した有害事象 (TEAE) は、 リンパ球減少 (Sint+化学療法群0% / Sint+CRT群11.1% / CRT単独群30.9%)、 白血球減少(4.3% / 24.4% / 29.1%)、 好中球減少 (2.2% / 8.9% / 16.4%) であった。
Leng氏は 「切除可能な局所進行ESCCにおいて、 術前CRT+sintilimab併用は、 手術合併症を増加させることなくpCR率を改善させた。 同治療法が、 新たな標準治療となる可能性がある」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。