海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Newcombらは、 favorable-risk前立腺癌患者を対象に、 積極的監視療法の長期的転帰について多施設共同前向きコホート研究で検討した。 その結果、 半数の男性が進行がなく治療を受けておらず、 転移性癌を発症したのは2%未満で、 前立腺癌によって死亡したのは1%未満であったことから、 積極的監視療法が有効な管理戦略であることが示された。 本研究はJAMAにおいて発表された。
追跡平均期間が7.2年と他の研究よりも長くなっていますが、 前立腺癌の特性からもさらなる長期アウトカム研究が期待されます。 JAMA(メイン) に掲載されたことから、 ガイドラインへの言及の根拠となる研究の位置付けかと思います。
積極的監視療法は、 前立腺特異抗原 (PSA) スクリーニングの導入によって生じたfavorable-risk前立腺癌への過剰治療を防ぐ目的に推奨されている。 しかし、 未治療への不安から適格患者の約60%にしか適用されていない現状がある。
本研究は、 多施設共同のプロトコルに基づくコホートにおいて、 積極的監視療法を受けている患者の長期的な腫瘍学的転帰の特徴を明らかにすることを目的とした実施された。
2008年から始まった前向きコホート研究PASS*の参加者で、 前治療歴のないfavorable-risk前立腺癌の患者2,155例を登録し、 前立腺癌の積極的監視療法のアウトカムを2022年まで追跡した。
診断後初回または以降のサーベイランス生検後における下記項目の累積発生率を評価した。
- 生検でのグレード再分類
- 治療
- 転移
- 前立腺癌による死亡
- 全死亡
- 治療後の再発
追跡期間中央値は7.2年、 年齢中央値は63歳で、 うち白人83%黒人7%であった。 また、 90%がグレードグループ1の癌と診断されていた。 PSA中央値は5.2ng/mLであった。
診断から10年後までの生検によるグレード再分類は43% (95%CI 40-45%) で、 49% (47-52%) は治療を受けた。 一方、約半数は進行がなく治療を受けていなかった。
5年再発率は初回生検後に治療を受けた患者が11% (7-15%)、 それ以降の生検後に治療を受けた患者は8% (5-11%) であった。
転移性癌への進行は21例、 前立腺癌に関連した死亡は3例報告された。 10年間の転移率は1.4% (0.7-2%)、 10年間の前立腺癌死亡率は0.1% (0-0.4%) であった。 また、 総死亡率は5.1% (3.8-6.4%) となった。
著者らは結論で、 「本研究では、 診断から10年後、 半数の男性が進行がなく治療を受けておらず、 転移性癌を発症したのは2%未満で、 前立腺癌によって死亡したのは1%未満であった。 監視期間の遅い時期での進行や治療はより不良な転帰と関連していなかった。 これらの結果は、 積極的監視は、 favorable-risk前立腺癌と診断された患者に対する効果的な管理戦略であることを示している」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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