【Public Health】排便回数の減少と便の硬さが認知症リスクの増加と関連
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海外ジャーナルクラブ

9ヶ月前

【Public Health】排便回数の減少と便の硬さが認知症リスクの増加と関連

【Public Health】排便回数の減少と便の硬さが認知症リスクの増加と関連
Shimizuらは、 日本の介護保険の認定記録を基に、 中年期以降の排便習慣と認知症との関連をコホート研究で検討。 その結果、 排便回数の減少と便の硬さが認知症リスクの増加と関連していることが明らかとなった。 本研究はPublic Health誌において発表された。

📘原著論文

Bowel movement frequency, stool consistency, and risk of disabling dementia: a population-based cohort study in Japan. Public Health. 2023 Jun 29;221:31-38. PMID: 37392635

👨‍⚕️監修医師のコメント

関連と介入の違いを若い先生に説明するのにわかりやすいテーマと言えます。 当然ですが、 排便回数を下剤などを利用して増やしても認知症は予防できる、 とはまず考えられません。

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研究デザイン

対象

JPHC研究内の8地区において排便習慣を報告した50~79歳の参加者

方法

  • 2006~16年における認知症の発症について追跡調査を実施。
  • 生活習慣因子や病歴を考慮したCox比例ハザードモデルを用いて、 男女別にHRと95%CIを推定した。

研究結果

男性における排便回数 (BMF) と認知症リスクの関係

BMFが1回/日であった場合と比較した多変量調整HRは以下の通りであった (傾向のP<0.001)。

  • 2回/日以上:1.00 (95%CI 0.87-1.14)
  • 5~6回/週:1.38 (95%CI 1.16-1.65)
  • 3~4回/週:1.46 (95%CI 1.18-1.80)
  • 3回/週未満:1.79 (95%CI 1.34-2.39)

女性におけるBMFと認知症リスクの関係

BMFが1回/日であった場合と比較した多変量調整HRは以下の通りであった (傾向のP=0.043)。

  • 2回/日以上:1.14 (95%CI 0.998-1.31)
  • 5~6回/週:1.03 (95%CI 0.91-1.17)
  • 3~4回/週:1.16 (95%CI 1.01-1.33)
  • 3回/週未満:1.29 (95%CI 1.08-1.55)

便の硬さと認知症リスクとの関係

硬便は認知症の高リスクと関連していた (傾向のP:男性0.0030、 女性0.024)。

正常便と比較した調整HR

  • 硬便の男性:1.30 (95%CI 1.08-1.57)
  • 非常に硬便の男性:2.18 (95%CI 1.23-3.85)
  • 硬便の女性:1.15 (95%CI 1.002-1.32)
  • 非常に硬便の女性:1.84 (95%CI 1.29-2.63)

結論

BMFの低下と便の硬さはそれぞれ認知症リスクの増加と関連していた。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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