HOKUTO編集部
2ヶ月前

順天堂大学は3月4日、 糖尿病患者を対象として腎機能の自然経過を追跡した観察研究において、 心不全の血液マーカーであるB型ナトリウム利尿ペプチド (BNP) が尿アルブミン・クレアチニン比 (UACR) と独立して慢性腎臓病 (CKD) 進行と関連し、 正常範囲内でも値が低いほど腎機能低下リスクが連続的に低下することが明らかになったと発表した。 同詳細はDiabetes Res Clin Pract 2026年2月24日オンライン版に掲載された¹⁾。
現在、 腎予後予測にはUACRが推奨されているが、 尿検査施行の難しさや保険診療上の制約のため実臨床では必ずしも十分に測定されていない。 一方、 BNPは心不全の診療で広く用いられている血液検査マーカーである。 近年、 心臓と腎臓の相互作用 (心腎連関) を反映する可能性が示唆されているものの、 正常範囲内のBNPが腎機能低下と関連するかどうかは明らかではなかった。
そこで本研究では、 20歳以上で文書同意が得られた糖尿病患者636例を対象に、 BNPと腎機能低下との関連を検討し、 以下の結果が得られた。
臨床因子のみのモデルにBNPを追加すると、 CKD進展 (ベースラインから30%のeGFR低下) の予測能が有意に改善した。 その改善度は、 UACRや尿蛋白・クレアチニン比 (UPCR) を追加した場合と概ね同等であった。
スプライン解析の結果、 BNPが基準値上限 (18.4pg/mL) 以下であっても、 値が低いほど腎機能低下リスクの段階的な低下が認められた。
BNP高値かつUACR高値の群で、 最も高いCKD進展の累積発症率を示した。 また、 BNPとUACRの相関は弱く、 異なる生物学的メカニズムを反映している可能性が示唆された。
研究グループは 「本研究により、 BNPが従来の尿マーカーとは異なる生物学的軸から腎機能低下と関連する可能性が示された。 これにより、 糖尿病患者における早期リスク評価の精度向上や、 心腎連関を踏まえた個別化医療の推進につながることが期待される。 また、 SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬などの心腎保護薬導入の判断補助としても活用できる可能性があり、 重症化予防を通じた医療費削減への貢献も見込まれる」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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