HOKUTO編集部
22日前

欧州心臓病学会 (ESC 2026) が、 8月28~31日に独・ミュンヘンで開催される。 今回は心不全ガイドラインのフル改訂を含む4本のガイドラインが発表され、 Hot Lineでは12セッション59試験が登場する。 本稿では、 発表される4ガイドラインと、 日本の実診療へのインパクト・ESC公式の注目度・海外の臨床医の関心という3つの視点から編集部が選んだHot Line 9演題を、 開幕に先立って予告する。
今回のESCでは、 フル改訂2本と初の単独ガイドライン2本が発表される。 4本はそれぞれ独立したセッションで発表されるほか、 初日8月28日の朝には4本を通覧する「2026 ESC Guidelines and Document overview」 (08:15~09:45 CEST) が設けられている。
2021年版を全面刷新するフル改訂である。 2023年のfocused updateのような部分改訂ではなく、 分類・診断・治療の骨格全体が見直される。 左室駆出率低下 (HFrEF) /軽度低下 (HFmrEF) /保持 (HFpEF) の薬物治療の推奨クラスがどう動くか、 鉄欠乏・糖代謝異常・腎機能低下といった併存症マネジメントの位置付けが焦点となる。
2018年の第4版を更新する改訂版である。 心筋傷害と心筋梗塞の区別、 Type 1~5の分類、 高感度トロポニンを用いた診断などに関する更新内容が注目される。
心臓リハビリテーション領域について、 ESCが初めて単独で策定するガイドラインである。 これまで各疾患ガイドラインで取り上げられてきた推奨が整理される予定で、 対象となる患者像や運動処方、 遠隔・在宅リハビリテーションの位置付けなどに関する内容が注目される。
心腎連関を正面から扱う初の単独ガイドラインである。 SGLT2阻害薬、 フィネレノン、 GLP-1受容体作動薬など心腎保護作用をもつ薬剤の使い分けと、 腎機能段階に応じた管理指針がどこまで具体化されるかが注目点となる。
CHA2DS2-VAScスコアが1点 (男性) ・2点 (女性) の心房細動患者を対象に、 直接経口抗凝固薬による脳卒中予防の有効性と安全性を検証した試験である。 現行のガイドラインでは高リスク例への抗凝固療法が推奨される一方、 中等度リスク例の扱いは考慮するにとどまる。 韓国で実施された無作為化試験で、 会期初日に発表される予定である。
頭蓋内出血の既往がある心房細動患者を対象に、 エドキサバンによる抗凝固療法の有効性と安全性を検証した試験である。 抗凝固療法の再開に当たっては、 頭蓋内出血の再発リスクと脳梗塞の予防効果の両面を考慮する必要がある。 再開時期の扱いを含め、 発表される結果が注目される。
心房細動患者を対象に、 肺静脈隔離術の効果をシャム手技との比較により検証した試験。 侵襲的手技を対象とするシャム対照試験である。
70歳を超える健常高齢者を対象に、 スタチンによる一次予防の有効性を検証した大規模試験である。 心血管イベントに加え、 認知症を伴わない生存期間も評価されており、 高齢者に対する一次予防の発表結果が注目される。
急性心筋梗塞患者を対象に、 PCI前にエボロクマブを投与し、 早期からLDLコレステロールの低下を図る戦略を検証した試験である。 エボロクマブは国内でも承認されており、 PCI前投与の有効性と安全性に関する結果が発表される予定である。
STEMI患者を対象に、 primary PCI後にプラスグレル単剤療法を行い、 アスピリンを省略する抗血小板療法を検証した試験である。 近畿大学が主導する国内試験で、 アスピリン省略戦略の有効性と安全性に関する結果が発表される予定である。
心筋梗塞が疑われた約6万8,000件の受診を対象に、 高感度トロポニンを用いたESCの0/1時間アルゴリズムの安全性と有効性を日常診療下で検証した試験である。 同会期には、 第5次心筋梗塞の普遍的定義も発表される予定である。
症候性の非閉塞性肥大型心筋症患者を対象に、 心筋ミオシン阻害薬aficamtenの有効性と安全性を検証した試験である。 閉塞性肥大型心筋症では国内でマバカムテンが承認されている一方、 非閉塞性を適応とする心筋ミオシン阻害薬は承認されていない。 症状や運動耐容能を含む評価結果が発表される予定である。
重症三尖弁閉鎖不全を伴う心不全患者を対象に、 経カテーテル三尖弁インターベンションが臨床アウトカムに与える影響を検証した試験である。 三尖弁逆流の程度や予後、 症状などに関する評価結果が発表される予定である。
今回のESCでは、 心不全ガイドラインと心筋梗塞の普遍的定義の改訂に加え、 心臓リハビリテーションと心血管疾患・慢性腎臓病を扱う初の単独ガイドラインが発表される。 HOKUTOでは会期中から、 これら4本のガイドラインの紹介とHot Line 9演題を順次レポートする。 会期後には見逃し配信のダイジェストも予定している。
ESC 2026における注目演題は、 金沢大学附属病院循環器内科・病院 臨床准教授の多田隼人先生にご解説いただく予定です。

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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