海外ジャーナルクラブ
1年前
Ocañaらは、 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) がClostridium difficile (C.difficile) 感染症 (CDI) を悪化させる機序を検討。 その結果、 マウスを用いた研究において、 NSAIDsが大腸上皮細胞を破壊し、 C. difficileの毒素による障害に細胞を感作することでCDIを悪化させることが示された。 本研究はSci Adv誌において発表された。
NSAIDsがC. difficileの毒素と相乗的に作用して宿主細胞のミトコンドリアにダメージを与えて大腸の微生物感染を増悪させる役割を担っている点を解明したのは素晴らしい成果です。 相乗的というのがKEYです。
C.difficileは、 2種類の強力な毒素の作用で大腸粘膜を損傷する。 病因は、 消化管生態系における生態学的因子、 粘膜免疫反応、 および環境因子によるものと考えられている。 最近の研究で、 NSAIDsがC.difficile感染症 (CDI) を悪化させることが示されているが、 この現象の根底にある機序は不明であった。
in vitroおよびCDIマウスを用いた研究において、 NSAIDsがシクロオキシゲナーゼ (COX) 酵素を阻害するという一般的な役割とは別に、 大腸上皮細胞を障害し、 C. difficileの毒素を介する障害に細胞を感作することによってCDIを悪化させることが示された。
また、 NSAIDsはC. difficile毒素と相乗的に作用し、 宿主細胞のミトコンドリアにダメージを与えることで、 CDIをより悪化させる可能性が示唆された。
これらの結果から、 NSAIDsは大腸の微生物感染を増悪させる機序を有することが示された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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