Smolenらは, メトトレキサートで効果不十分な関節リウマチ患者を対象に, オロキズマブとアダリムマブの効果を比較検討する第Ⅲ相多施設共同プラセボ実薬対照試験を実施 (CREDO 2試験) . その結果, オロキズマブは12週時点のACR20の獲得においてプラセボより優れており, アダリムマブとの比較においても非劣性であった. 本研究は, NEJM誌において発表された.
📘原著論文
Smolen JS. et al, Olokizumab versus Placebo or Adalimumab in Rheumatoid Arthritis. N Engl J Med. 2022 Aug 25;387(8):715-726.PMID: 36001712
👨⚕️HOKUTO監修医コメント
本研究の試験デザインがものすごく洗練されています. プラセボとの比較, 既存薬との非劣性試験, かつdose dependencyまでを1つの試験として行っています. 早く患者さんのもとに届けるために試験にかかる時間を節約するという観点からは, とても参考になる試験デザインと言えます.
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背景
IL-6は, 関節リウマチの病態に関与している. IL-6を標的とするヒト化モノクローナル抗体であるオロキズマブは, 関節リウマチの治療薬として試験中である.
研究デザイン
対象と方法
メトトレキサートで効果不十分な関節リウマチ患者を以下の3群に無作為に割り付けた. すべての患者がメトトレキサート治療を継続した.
- オロキズマブ皮下投与:464名 (64mg, 2または4週毎)
- アダリムマブ:479名 (40mg, 2週毎)
- プラセボ:243名
評価項目
- 主要評価項目:12週目のACR 20 (圧痛・腫脹関節が20%以上減少, その他5項目中3項目で20%以上改善)
- ACR20反応が得られた患者さんの割合について, オロキズマブ各用量のアダリムマブに対する非劣性を検証した.
非劣性マージン:群間差の97.5%信頼区間の下限が-12%ポイント
研究結果:有効性評価
12週目のACR 20
- プラセボ投与群:44.4%
- オロキズマブ投与群 (2週毎) :70.3%
プラセボとの差:25.9ポイント, 97.5% CI:17.1-34.1
プラセボとの差:27.0ポイント
プラセボとの差:22.5%ポイント, 95%CI, 14.8-29.8
オロキズマブの各用量のプラセボに対する優越性:P<0.001
12週目のACR20達成率については, オロキズマブの両用量ともアダリムマブに対して非劣性であった.
- オロキズマブ投与群 (2週間毎) :3.4ポイント, 97.5%CI -3.5-10.2
- オロキズマブ投与群 (4週間毎) :4.5ポイント, 97.5%CI -2.2-11.2
研究結果:安全性評価
- 有害事象は, オロキズマブ投与患者の約70%に発生し, 最も多かったのは感染症であった. オロキズマブに対する抗体が検出されたのは, 2週間ごとに投与された患者の3.8%, 4週間ごとに投与された患者の5.1%であった.
- オロキズマブ投与群の約70%に有害事象が発生し, 感染症が最も多かった.
- また, オロキズマブに対する抗体が, 2週毎投与群の3.8%, 4週毎投与群の5.1%で検出された.
結論
メトトレキサート維持療法を受けている関節リウマチ患者において, オロキズマブは12週時点のACR20の獲得においてプラセボより優れており, アダリムマブに比べ非劣性であった. 関節リウマチ患者におけるオロキズマブの有効性と安全性を確認するため, より大規模で長期間の臨床試験が必要である.