HOKUTO編集部
2ヶ月前
厚生労働省医薬局医薬品審査管理課は、 日本イーライリリーの肥満症治療薬チルゼパチド (商品名 ゼップバウンド®皮下注) について、 3月18日付の課長通知で最適使用推進ガイドライン (GL) を取りまとめた旨を都道府県などに周知した。 同薬は3月19日に薬価収載された。
GLでは以下などについて詳細に記されている。
「施設について」 では、 「本剤が適応となる患者の選択、 投与継続/中止および再投与の判断は、 適切に行われることが求められる。 治療対象となる肥満症以外での痩身・ダイエットなどを目的に本剤を投与してはならない」 とされ、 施設および医師要件について具体的に定められている。
「投与対象となる患者」 では、 投与の要否を判断するにあたっての患者選択基準、 投与の継続・中止の判断基準について記されている。 最大投与期間については 「日本人を対象とした臨床試験における主要な有効性の評価期間は72週間であったことから、 本剤の投与は最大72週間とすること」 と定められた。
また、 「投与に際して留意すべき事項」 では、 禁忌や妊婦または妊娠している可能性のある女性、 投与の必要性を慎重に判断すべき患者や状態、 小児、 その他計20項目にわたり、 留意事項が記されている。
チルゼパチド (商品名 ゼップバウンド®皮下注) は、 グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド (GIP) とグルカゴン様ペプチド-1 (GLP-1) の2つの受容体に作用する持続性GIP/GLP-1受容体作動薬。 3月19日に薬価収載され、 4月11日に発売予定である。
中枢神経系においてGIP受容体およびGLP-1受容体に作用することにより食欲を調節し、 また脂肪細胞のGIP受容体に作用することにより脂質等の代謝を亢進させることで、 体重減少作用を示すと考えられる。
効能または効果、 用法および用量は以下のとおり。
効能・効果
肥満症
ただし、 高血圧、 脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、 食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、 以下に該当する場合に限る。
・BMIが27kg/m²以上であり、 2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35kg/m²以上
用法・用量
通常、 成人には、 チルゼパチドとして週1回2.5mgから開始し、 4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、 週1回10mgを皮下注射する。 なお、 患者の状態に応じて適宜増減するが、 週1回5mgまで減量、 または4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量できる。
天然GIPペプチド配列をベースとした単一分子だが、 GLP-1受容体にも結合するように改変されており、 選択的に長時間作用するため週1回投与が可能である。
また、 同薬は、 1回使い切りのオートインジェクター型注入器 「アテオス®」 により、 週1回皮下注射で投与する。 あらかじめ取り付けられている注射針が、 注入ボタンを押すことで自動的に皮下にささり、 1回量が充填されている薬液が注入される。 用量は2.5mg、 5mg、 7.5mg、 10mg、 12.5mg、 15mgの6規格のラインナップで、 状態に応じての使い分けが可能。
なお、 本邦において、 2023年4月に同一成分・規格のマンジャロ®皮下注がすでに発売されているが、 効能・効果は 「2型糖尿病」 である。
肥満者の心不全、 チルゼパチドで増悪リスク減 : SUMMIT
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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