海外ジャーナルクラブ
1年前
Vellらは、 一般集団におけるスタチン系薬の使用と肝疾患のリスクとの関連性をコホート研究で検討。 その結果、 スタチンの定期的な使用により新規肝疾患発症、 肝臓関連死、 肝細胞癌 (HCC) 発症のリスクがそれぞれ低下することが示された。 本研究はJAMA Netw Open誌において発表された。
本研究には自己申告性データセットの限界があります。 本文の結論に書かれていますが、 clinical trialが必要です。
【JAMA Netw Open】スタチン使用で癌関連死のリスクが低減:アジアの乳癌患者
【Lancet】スタチンによる筋症状報告、 9割以上が薬剤に起因せず
医療制度における慢性肝疾患の負担を考えると、 一般集団におけるスタチンの肝保護関連に関するより多くの情報が必要である。
年齢、 性別、 肥満度、 民族性、 糖尿病 (インスリンまたはビグアナイドの使用の有無)、 高血圧、 虚血性心疾患、 脂質異常症、 アスピリンの使用、 服用薬剤数 (UK Biobankのみ) を基に、 傾向スコアマッチングを用いて対象者を抽出
スタチンの常用
肝疾患とHCCの発症、 肝臓関連死
新たな肝疾患の発症リスク
以前に肝疾患と診断されたことのないUK Biobankの患者 (20万5,057例) において、 スタチン使用者 (56,109例) は新たな肝疾患発症リスクが15%低減した。
肝臓関連死リスク
肝臓関連死リスクは28%低減した。
HCC発症リスク
HCC発症リスクは42%低減した。
TriNetXコホート (15万68,794例) のスタチン使用者において、 HCC発症の関連に対するリスクはさらに低下(74%減)した。
スタチンの肝保護関連は時間および用量に依存し、 PMBB (1万1,640例) ではスタチン使用1年後に肝疾患の発症に有意な関連がみられた。
スタチン服用は、 男性、 糖尿病患者、 ベースライン時のFibrosis-4 indexが高い患者において特に有益であった。 PNPLA3 rs738409のヘテロ接合性マイナーアレルの保因者はスタチンの使用が有益であり、 HCCとの関連リスクが69%低減した。
肝疾患に対するスタチンの実質的な予防的関連を示しており、 摂取期間および摂取量との関連も示している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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