海外ジャーナルクラブ
1年前
Weberらは、 臨床的リンパ節 (cN) 転移陽性乳癌患者を対象に、 腋窩リンパ節郭清 (Axillary lymph nodes dissection:ALND) と全身治療との関連を第Ⅲ相ランダム化臨床試験OPBC-03/TAXISにおいて計画された前向き観察コホート研究で検討。 その結果、 ALNDによるリンパ節転移陽性個数の正確な把握は全身治療の判断に影響していないことが示された。 本研究はJAMA Surg誌において発表された。
少し結論が分かりにくいのですが、 本文中には下記の文章がabstractの結論の2つの文章の間に記載されています。
正確なリンパ節転移陽性個数が不明であることは、 術後およびネオアジュバント後の全身治療決定には影響しなかった。
臨床的cN陽性乳癌患者において全身治療を判断する上で、 ALNDの役割は不明確であった。
欧州6カ国44施設のcN陽性乳癌患者:500例
全例が腋窩縮小手術 (targetted axillary dissection:TAS) 後に、 ALNDまたは腋窩への放射線療法 (Adaptive radiotherap:ART) のいずれかを受けた。
合計500例が試験に組み入れられ、 手術先行の335例中296例がホルモン受容体 (HR) 陽性、 HER2陰性であった。
両群間で術前補助化学療法 (neoadjuvant chemotherapy:NACT) を受けた患者の割合 (ART群:55.9%、 ALND群:60.3%、 調整オッズ比0.72、 95%CI 0.19-2.67) や全身治療の種類に差はみられなかった。
NACTを受けた患者151例 (ART:51.0%、 ALND:49.0%) では、 NACT後の全身治療を受けた患者の割合、 NACT後の化学療法の種類、 内分泌療法の種類に差はなかった。
NACTを受けた患者の割合
aOR 0.86、 95%CI 0.43-1.70
NACT後の化学療法の種類
内分泌療法の種類
本研究は、 ALNDを受けていない患者において、 有意にステージングが低く見積もられていた可能性を示唆している。 しかし、 ALNDによるリンパ節転移陽性個数の正確な把握は全身治療の判断に影響を与えなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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