海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
Kangらは、 病理学的分類Ⅲ期 (pStageⅢ) の胃癌または食道胃接合部 (G/GEJ) 癌の患者を対象に、 術後補助化学療法に対する抗PD-1抗体ニボルマブの上乗せの有効性および安全性について、 第Ⅲ相多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験ATTRACTION-5で検討した。 その結果、 ニボルマブを追加しても、 3年無再発生存率に有意な改善は認められなかった。 本研究はLancet Gastroenterol Hepatolにおいて発表された。
Lancet Gastroenterol Hepatolには、 abstractとは別に本文が断片的にみられるSection snippetsがあります。
pStageⅢのG/GEJ癌患者に対するアジアの標準療法は、 D2以上の広範なリンパ節郭清を伴う胃切除術後の術後補助化学療法である。
本研究の目的は、 ニボルマブ+化学療法による術後補助療法の有効性と安全性を、 プラセボ+化学療法による術後補助療法と比較検討することであった。
以下を満たす、 20~80歳の患者755例が対象とされた。
- D2以上の広範なリンパ節郭清を伴う胃切除術後
- pStageⅢA-CのG/GEJ腺癌
- ECOG PS : 0または1
- PD-L1発現の解析に使用できる腫瘍組織あり
第Ⅲ相、 無作為化多施設共同二重盲検プラセボ対照比較試験である。
日本、 韓国、 台湾、 中国の96の病院で実施された。 患者は無作為に、 1 : 1で以下の群に割り付けた。なお、 主要評価項目は無再発生存とした。
- ニボルマブ+化学療法*群 : 377例
- プラセボ群+化学療法*群 : 378例
初回投与からデータカットオフまでの期間の中央値は、 49.1ヵ月 (IQR 43.1-56.7ヵ月) であった。
3年無再発生存率は以下のとおりであり、 有意な改善はみられなかった。
- ニボルマブ+化学療法群 : 68.4%
- プラセボ+化学療法群 : 65.3%
- 無再発生存期間のハザード比 : 0.90
治療に関連した有害事象
ニボルマブ+化学療法群では99% (366/371例)、 プラセボ+化学療法群では98% (364/374例) で発現した。
有害事象による中止
ニボルマブ+化学療法群で34例 (9%) で報告され、 プラセボ+化学療法群における13例 (4%) より頻度が高かった。
治療に関連した有害事象
最もよくみられたのは食欲減退、 悪心、 下痢、 好中球数減少、 末梢性感覚ニューロパチーであった。
ATTRACTION-5試験の結果は、 未治療で局所進行切除可能なG/GEJ癌患者に対する術後補助療法にニボルマブを追加することを支持するものではなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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