HOKUTO編集部
17時間前

既治療のKRAS G12C変異陽性の局所進行または転移性非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者を対象に、 次世代KRAS G12C阻害薬divarasibと第1世代KRAS G12C阻害薬のソトラシブまたはadagrasibを比較した第III相無作為化比較試験Krascendo 1の主解析結果が報告された。 divarasibは対照群と比較して、 無増悪生存期間 (PFS) と全生存期間 (OS) を有意に延長し、 奏効率も有意に改善した。 米・University of Texas MD Anderson Cancer CenterのFerdinandos Skoulidis氏が発表した。 同試験の詳細は、 N Engl J Med誌2026年10月25日オンライン版¹⁾に掲載された。
KRAS G12C変異は、 非扁平上皮NSCLCの約12~14%に認められる。 第1世代KRAS G12C阻害薬のソトラシブとadagrasibは、 米国と欧州で既治療例に承認されている (国内承認はソトラシブのみ)。 しかし、 ドセタキセルと比較したPFS中央値の延長は1~2ヵ月程度にとどまり、 より有効な治療が求められている。
次世代KRAS G12C阻害薬divarasibは、 前臨床試験でソトラシブやadagrasibより高い効力と選択性を示した。 既治療例を対象とした第I相試験の400mg投与例では、 奏効率59.1%、 PFS中央値15.3ヵ月であった。
同試験の対象は、 白金製剤を含む化学療法と抗PD-1/PD-L1抗体による治療を含む1~3ラインの前治療歴を有する、 KRAS G12C変異陽性の局所進行または転移性NSCLC患者である。 KRAS G12C阻害薬は未治療で、 ECOG PSは0または1であった。
患者をdivarasib群 (400mg 1日1回) と対照群 (ソトラシブ960mg 1日1回またはadagrasib 600mg 1日2回) に1:1で無作為に割り付け、 非盲検下で比較した。
主要評価項目は盲検下独立中央判定 (BICR) によるPFS、 主な副次評価項目はOS、 BICRによる確定奏効率などであった。 PFS、 OS、 確定奏効率の順に階層的に検定し、 OSの中間解析はPFSの主解析時に実施した。 データカットオフは2026年5月19日、 追跡期間中央値は14.3ヵ月であった。
計338例がdivarasib群167例、 対照群171例 (ソトラシブ156例、 adagrasib 15例) に無作為に割り付けられた。 両群とも年齢中央値は66歳、 ECOG PS 1は約60%、 中枢神経系転移歴を有する患者は約30%で、 患者背景はおおむね均衡していた。
BICRによるPFS中央値は、 divarasib群9.8ヵ月 (95%CI 8.1–12.9ヵ月)、 対照群5.7ヵ月 (95%CI 4.2–6.8ヵ月) であった。 divarasib群では対照群と比較して、 病勢進行または死亡のリスクが42%低減した (層別HR 0.58、 95%CI 0.44–0.76、 両側p<0.0001)。
OS中央値は、 divarasib群17.7ヵ月 (95%CI 16.3ヵ月–NE)、 対照群12.0ヵ月 (95%CI 10.0–15.2ヵ月) であった。 divarasib群では対照群と比較して、 死亡リスクが44%低減した (層別HR 0.56、 95%CI 0.41–0.78、 両側p=0.0005)。
BICRによる確定奏効率は、 divarasib群58.4% (161例中94例、 95%CI 50.4–66.1%)、 対照群32.3% (167例中54例、 95%CI 25.3–40.0%) であった。 調整後の差は25.8%㌽ (95%CI 15.6–36.0%㌽) で、 divarasib群で有意に高かった。 奏効期間中央値は、 それぞれ11.9ヵ月、 6.9ヵ月であった。
Grade 3~4の治療関連有害事象 (TRAE) の発現率は、 divarasib群24.6%、 対照群34.5%、 重篤なTRAEは7.8% vs 15.2%であった。 Grade 5のTRAEは両群とも認められず、 TRAEによる投与中止率は、 それぞれ4.8%、 11.7%であった。
divarasib群で多く認められたTRAEは下痢 (66%)、 悪心 (53%)、 嘔吐 (39%) で、 主にGrade 1であった。 ALT上昇とAST上昇は対照群より少なかった。 治療関連の肺臓炎とQT延長はdivarasib群では認められず、 対照群でそれぞれ3例、 2例に認められた。
Skoulidis氏は、 Krascendo 1が次世代KRAS G12C阻害薬と第1世代阻害薬を比較した初の国際共同試験であり、 divarasibはPFS、 OS、 奏効率で有意な改善を示したと説明した。 安全性も既報と一貫していたことから、 既治療のKRAS G12C変異陽性の局所進行または転移性NSCLCに対する新たな標準治療になるとの見解を示した。
1) N Engl J Med. 2026年10月25日オンライン版

アジア人の参加が各群10例程度に限られる点には留意が必要であるものの、有効性は明確であり、新たな標準治療となる結果である。
一方、脳転移の有無によって有効性が異なる可能性が示唆されており(PFS 11.2ヵ月 vs 6.8ヵ月)、詳細な解析結果が待たれる。
安全性については、Grade 1–2の消化器毒性が増加しており、実臨床における適切な管理方法が今後の検討課題となる。
KRAS G12C陽性NSCLC、 divarasibがソトラシブ・adagrasibに優越性
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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