海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Van der Leiらは、 ≦3cmかつ10個以下の大腸癌肝転移に対し、 外科的切除に対する熱凝固療法の非劣性を国際第III相無作為化比較試験COLLISIONで検証した。 その結果、 熱凝固療法は外科的切除と比較して有害事象が少なく、 局所制御と全生存期間 (OS) において非劣性である可能性が示唆された。 本研究はLancet Oncologyにおいて発表された。
Lancet特有のInterpretation ではshouldを用いて熱凝固療法は切除不可能な大腸癌肝転移に限定して行うべきだとする前提は再評価が必要であると強い論調で書かれています。
切除可能な大腸癌肝転移における熱凝固療法は、 外科的切除と比較して有害事象が少なく、 回復が早いというエビデンスが増加しているが、 局所制御と全生存率の点では明確な非劣性が示されておらず、 本邦の大腸癌治療ガイドライン2024年版においても 「切除可能な大腸癌肝転移巣に対して肝切除が標準療法」 と明記されている。 本研究では、 切除可能な小サイズの大腸肝転移患者において、 肝切除に対する熱凝固療法の非劣性を評価することを目的とした。
3cm以下の大腸癌肝転移が10個以下で、 肝外転移のない患者300例を対象に、 熱凝固療法群148例、 肝切除群148例に無作為に割り付けた。 主要評価項目は全生存期間 (OS)、 副次評価項目は局所制御率、 有害事象、 安全性と設定された。
熱凝固療法群は肝切除群と比較し、 OSにおいて非劣性だった (HR 1.05 [95%CI 0.69-1.58]、 p=0.83)。
局所制御率は、 両群で同等であり (HR 0.13 [95%CI 0.02-1.06]、 p=0.057)、 有害事象は熱凝固療法群で少なかった (19% vs 46%、 p<0.0001)。 また、 重篤な有害事象も熱凝固療法群で少なかった (7% vs 20%)。 熱凝固療法群に治療関連死はなく肝切除群で3例が確認された。
著者らは 「熱凝固療法は切除不可能な大腸癌肝転移に適用すべきという前提は再評価が必要」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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