【Surgery】急性虫垂炎に対する内視鏡的逆行性治療 (ERAT) の有効性
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海外ジャーナルクラブ

11ヶ月前

【Surgery】急性虫垂炎に対する内視鏡的逆行性治療 (ERAT) の有効性

【Surgery】急性虫垂炎に対する内視鏡的逆行性治療 (ERAT) の有効性
Pata氏らは合併症のない虫垂炎患者を対象に、 内視鏡的逆行性虫垂炎治療 (ERAT) と虫垂切除術、 抗菌薬治療の効果と安全性について、 系統的レビューとメタアナリシスで検討した。 その結果、 各治療法の間に有意差は見られなかったものの、 再発リスクでは虫垂切除術の方が優れていた。 本研究はSurgery誌に掲載された。

📘原著論文

Endoscopic retrograde appendicitis therapy versus appendectomy or antibiotics in the modern approach to uncomplicated acute appendicitis: A systematic review and meta-analysis. Surgery. 2023 Dec;174(6):1292-1301. PMID: 37806859

👨‍⚕HOKUTO監修医コメント

ERAT研究は全て中国での研究成果ですので、 メタアナリシスをしてもその部分は取り除けないため一般化に大きな課題が残ります。 今後同じような問題がさまざまなメタアナリシスで起こると思います。

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背景

ERATは、 虫垂炎治療の代替戦略として提案されているが、 従来の治療である虫垂切除術や抗菌薬治療と比較した有効性や安全性に関しては明らかにされていない。

研究デザイン

対象

合併症のない急性虫垂炎患者

方法

2023年4月までにMEDLINE、 Cochrane Central、 EMBASEに登録された文献内より、 ERAT、 腹腔鏡下虫垂切除術、 開腹下虫垂切除術、 抗菌薬治療のいずれかを比較したオリジナルの臨床試験を検索

二項変数はリスク比 (RR)を、 連続変数は平均差を算出。 バイアスのリスクは、 Cochrane Risk of Bias 2.0ツール (無作為化比較試験) およびRisk of Bias in Non-Randomized Studies of Interventionツール (非無作為化比較試験) を用いて評価

主要評価項目

初回治療の技術的な成功、 1年後までの治療有効性

治療有効性の定義 : 虫垂炎の再発や、 腸骨窩の痛みを伴う発熱などが起こらないこと

副次評価項目

治療所要時間、 治療後の腹痛、 入院日数、 短期合併症、 虫垂炎再発

研究結果

検索で見つかった224件の文献のうち、 適格基準を満たした研究論文は6件であった。

主要評価項目

技術的成功

ERAT群 (236例) vs 虫垂切除群 (339例) 、 ERAT群 vs 抗菌薬治療群 (280例)ともに有意差はなかった。

  • ERAT群 vs 虫垂切除群 : RR 0.97 
(95%CI 0.92-1.02)
  • ERAT群 vs 抗菌薬治療群 : RR 1.1
(95%CI 0.91-1.35) 

1年後までの治療有効性

ERAT群 vs 虫垂切除群では、 1年後までの再発率は虫垂切除群が優れていた。 ERAT群 vs 抗菌薬治療群では有意差はなかった。

副次評価項目

ERAT群 vs 虫垂切除群

ERAT群は虫垂切除術群に比べ、 治療所要時間 (平均差-14.38、 95%CI -20.17~-8.59) と入院期間 (平均差-1.19、 同-2.37~-0.01) が短く、 介入後の腹痛 (RR 0.21、 同0.14-0.32) が少なかった。

ERAT群 vs 抗菌薬治療群

ERAT群は抗菌薬治療群に比べ、 入院期間が短かった (平均差-1.91、 95%CI -3.18-0.64)。

結論

合併症のない急性虫垂炎に対する治療の技術的成功および1年後までの有効性に関して、 ERATと虫垂切除術、 抗菌薬治療の間に有意差は認められなかった。 ただし、 1年後再発リスクはERATに比べて虫垂切除術の方が優れており、 一方でERATは治療所要時間や入院日数を短縮できる可能性が示唆された。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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