【NEJM】安定胸痛におけるCT検査と侵襲的冠動脈造影との比較 (DISCHARGE)
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2年前

【NEJM】安定胸痛におけるCT検査と侵襲的冠動脈造影との比較 (DISCHARGE)

【NEJM】安定胸痛におけるCT検査と侵襲的冠動脈造影との比較 (DISCHARGE)
DISCHARGE Trial Groupの研究者は、 閉塞性の冠動脈疾患 (CAD) の検査前確率が中程度で侵襲的冠動脈造影 (ICA) の対象となった安定狭心症患者を対象に、 初回画像診断戦略としてCTとICAの有効性を比較する無作為試験を実施 (DISCHARGE試験). 結果、 主要な有害心血管イベントのリスクは同程度であったが、 手技関連合併症の頻度は、 初回CT戦略でより低かったと報告した. 本研究はNEJM誌において発表された.

研究の背景

閉塞性のCADの診断では、 ICAがゴールドスタンダードな検査であるが、 非侵襲的な冠動脈CTも代替検査として精度が向上した. そこで著者らは、 安定胸痛患者に対する治療方針を決定するための、初期画像診断としてCTと侵襲的冠動脈血管造影の有用性を比較する臨床試験を実施した.

研究デザイン

対象と割り付け

  • 対象は、閉塞性CADを疑われ欧州16カ国26施設の医療センターに紹介された30歳以上の胸痛患者で、 検査前確率が中程度のためICAの対象となった者.
  • 以下の2群に無作為に割り付けした.
  1. 冠動脈CT検査 (CT群):1808名
  2. 侵襲的冠動脈造影 (ICA群):1753名

評価項目

  • 主要転帰:3.5年間の主要な有害心血管イベント (MACE:心血管死亡、 非致死的心筋梗塞、 非致死的脳卒中) .
  • 副次的転帰:手技関連合併症と狭心症.

研究結果

主要な有害心血管イベント

  • CT群 2.1% (38/1808例)
  • ICA群 3.0% (52/1753例)
ハザード比は0.70 (95%CI 0.46~1.07、 p=0.10)で有意差なし.

主要な手技関連合併症

  • CT 群 0.5% (9例)
  • ICA 群 1.9% (33例)
ハザード比は0.26 (95%CI 0.13~0.55) で、 CT群で有意に低かった.

追跡期間の最後の4週間に狭心症の症状があったと自己申告した患者の割合

  • CT群では8.8%
  • ICA群では7.5%
オッズ比は 1.17 (95%CI 0.92~1.48) で有意差なし.

結論

これらの結果から著者らは、 胸痛により冠動脈血管造影を受けるために紹介された患者で、 閉塞性CADの検査前確率が中程度の場合、主要な有害心血管イベントのリスクは初回CT群と初回ICA群で同等であったが手技に関連する合併症の頻度は、 初回CT戦略でより低かった.

原著

Maurovich-Horvat P、 et al、 The DISCHARGE Trial Group、 CT or Invasive Coronary Angiography in Stable Chest Pain. N Engl J Med 2022; 386:1591-1602 PMID : 35240010

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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