【NEJM】リウマチ性多発筋痛症、グルココルチコイド漸減中の再発にサリルマブが有効
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海外ジャーナルクラブ

7ヶ月前

【NEJM】リウマチ性多発筋痛症、グルココルチコイド漸減中の再発にサリルマブが有効

【NEJM】リウマチ性多発筋痛症、グルココルチコイド漸減中の再発にサリルマブが有効
Spieraらは、 グルココルチコイド療法の漸減中に再発したリウマチ性多発筋痛症 (PMR) の患者を対象に、 ヒトモノクローナル抗体サリルマブの効果を第Ⅲ相臨床試験で検討。 その結果、 サリルマブは持続的寛解を達成し、 グルココルチコイド累積投与量の減少において有意な有効性を示した。 本研究はNEJM誌において発表された。 

📘原著論文

Sarilumab for Relapse of Polymyalgia Rheumatica during Glucocorticoid Taper. N Engl J Med. 2023 Oct 5;389(14):1263-1272. PMID: 37792612

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

NEJMはアカデミアにおける最新スタイルを供給します。 今回の研究タイトルは、 試験デザイン名もefficacyもsafetyもタイトルに含まれていないという点でかなり斬新です。

🔢関連コンテンツ

PMRの診断 (分類) 基準

EULAR/ACR 2012 暫定的診断 (分類) 基準案

ケブザラ皮下注200mg

ヒトモノクローナル抗体サリルマブ

背景

PMR患者の半数以上がグルココルチコイド療法の漸減中に再発することが知られている。 また、 これまでの研究から、 IL-6の阻害がPMRの治療に有用な可能性が示唆されている。 ヒトモノクローナル抗体のサリルマブは、 IL-6受容体αに結合し、 IL-6経路を阻害する特性がある。

研究デザイン

対象

PMRの診断で、 12週間以内にグルココルチコイド療法の漸減中1回以上の再発を認め、 赤血球沈降速度が30mm/時以上またはCRP値10mg/L以上だった患者:118例

介入

患者を1:1の割合で無作為に割り付けた。

  • サリルマブ群:60例
サリルマブ (200mg) を月2回、 52週間皮下投与し、 プレドニゾンの漸減投与を14週間実施した。
  • プラセボ群:58例
プラセボを月2回、 52週間皮下投与し、 プレドニゾンの漸減投与を52週間で実施した。

主要評価項目

52週時点の持続的寛解

12 週目までにPMRの徴候・症状が消失していること、 12~52 週目にCRP値の正常化が持続し、 疾患の再燃がないこと、 プレドニゾン漸減が遵守されていることと定義

研究結果

有効性評価

52週時点の持続的寛解

サリルマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に高かった。

  • サリルマブ群:28% (17例中60例)
  • プラセボ群: 10% (6例中58例)
差:18%㌽、 95%CI 4-32%㌽、 p=0.02

52週時点のグルココルチコイド累積投与量

サリルマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に少なかった。

  • サリルマブ群:中央値 777mg
  • プラセボ群: 中央値 2,044mg
p<0.001

安全性評価

頻度の高い有害事象

プラセボと比較してサリルマブで最も多くみられた有害事象は以下のようなものであった。

 好中球減少症

  • サリルマブ群:15%
  • プラセボ群: 0%

 関節痛

  • サリルマブ群:15%
  • プラセボ群: 5%

 下痢

  • サリルマブ群:12%
  • プラセボ群: 2%

治療に関連する投与の中止

プラセボ群よりもサリルマブ群で多く認められた。

  • サリルマブ群:12%
  • プラセボ群:7%

結論

グルココルチコイド漸減中にPMRが再発した患者において、 サリルマブは持続的寛解を達成し、 グルココルチコイド累積投与量の減少に有意な有効性を示した。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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