海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
大阪公立大学大学院医学研究科医療統計学の井原康貴氏、 新谷歩氏らの研究グループは、 進行非小細胞肺癌 (NSCLC) の患者を対象に、 BMIが免疫療法または化学療法後の全生存期間 (OS) に関連するかどうかを後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 過体重または肥満の患者においては、 免疫チェックポイント (ICI) による効果が減弱している可能性が示唆された。 本研究はJAMA Netw Open誌にて発表された。
本邦からのBMIとICIの治療効果の関連を見た研究です。 どうしてもBMIが35までの範囲での検討になってしまい、 海外での肥満で多いBMI>35やBMI>40のデータがないことが、 最大のlimitationです。
肥満の肺癌患者における治療法と死亡リスクの関係を大規模診療データから検証
肥満と癌治療の反応および生存率との関連については、 さまざまな研究から相反する結果が報告されており、 依然として不明確である。
特に、 免疫療法で十分な治療効果が得られない可能性がある肥満患者では、 第1選択として従来の化学療法と免疫療法のいずれを選択するのが最適なのか、 依然として不明である。
2015年12月1日~2023年1月31日の日本の急性期病院のレセプトデータを用いた後ろ向きコホート研究である。
成人の進行NSCLC患者3万1,257例を対象とし、 ICI治療群1万2,816例と従来の化学療法群1万8,441例を比較した。 なお、 分子標的薬による治療や、 化学放射線療法を受けた患者は除外された。
主要評価項目は、 初回治療後3年間のOS率とした。
BMI 28未満の患者では、 ICI治療群は化学療法群と比較して死亡のHRが有意に低かった。
BMI 28以上の患者では、 ICI治療群と化学療法群との間に死亡に関する有意な関連は認められなかった。
著者は 「本研究では、 BMIが進行NSCLC患者におけるOSと免疫療法の効果に影響を与える可能性があることを示唆している。 特に、 過体重または肥満の患者においては、 ICI治療が最適な第1選択ではない可能性があり、 その場合には従来の化学療法も考慮されるべきである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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