HOKUTO通信
2日前

長崎大病院など長崎市内の高度医療を担う3病院が2026年7月から、 緊急性がないのに救急搬送された患者に対し、 「選定療養費」 として1人 (件) につき7700円 を徴収する仕組みを導入すると発表しました。 不要不急な救急車利用を減らし、 病院収容時間の短縮につなげる対策の一つです。 今回は最新データをもとに、 病院収容にかかる所要時間を都道府県別に見ていきます。
導入するのは長崎大病院、 長崎みなとメディカルセンター、 日赤長崎原爆病院の3病院。 選定療養費は、 紹介状がない患者が一般病床200床以上の特定機能病院などを受診した場合に追加料金を徴収する制度。 3病院も徴収していますが、 救急搬送は対象外としていました。
背景には救急搬送の増加と医療現場の逼迫があります。 長崎市消防局によると、 2025年の救急搬送者数は10年前に比べ17.2%増の2万5,255人で過去最多を更新。 近年は3割超が軽症者となっており、 複数の病院が受け入れを断って市外に搬送される事例も増えています。
追加徴収の取り組みは、 三重県松阪市の3病院が2024年6月に全国に先駆けて開始。 同年12月からは茨城県内の22病院も導入しました。
茨城県によると、 導入後1年間で追加徴収した患者は全体の3.5%。 県内の救急搬送は4.2%減り、 軽症者の搬送も14.3%減少したといいます。 追加徴収の動きは今後も全国で出てきそうです。

総務省消防庁によると、 出動件数は、 前年比1.0%%増の771万8380件で、 過去最多を更新しました。 一方、 病院収容所要時間は2024年の全国平均で44.6分で、 前年から1.0分改善しましたが、 依然として改善が求められる状況です。 【グラフ1】
都道府県別に比較すると、 最も時間がかかったのは東京都 (60.5分) で、 唯一60分を超えています。 一方、 最も収容が早いのは富山県 (33.1分) で、 その差は27分もあります。 【表1】

長崎の事例は 「救急車の有料化」 ではありませんが、 有料化を求める声も多くあります。
有料化のメリットとしては、 軽症者のコンビニ受診の抑制や、 出動費用の削減などが挙げられます。 救急車の出動費用は1回当たり4万5,000円といわれています。 2024年の救急搬送は約772万件なので、 年間約3,470億円のコストがかかっている計算です。
一方、 デメリットは、 119番を控える心理が働くことで、 緊急性の高い患者であっても救急要請をためらう可能性があることなどが挙げられます。
総務省などは 「適正な救急車の利用を考える意義は大きい」 としています。
*¹⁾ 総務省 : 報道資料 「令和7年版 救急・救助の現況」

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。