海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前

兵庫医科大学消化器外科学講師の片岡幸三氏らの研究グループは、 大腸癌肝転移298例を対象に、 術後の血中循環腫瘍DNA (ctDNA) で定義される分子的残存病変 (MRD) の状態と補助化学療法の有益性との関連を、 CIRCULATE-JapanのGALAXY試験の参加者データを用いた観察研究で検討した。 その結果、 手術先行例において術後MRD陽性は無病生存期間 (DFS)および全生存期間 (OS) の不良と関連し、 MRD陽性例に対する術後補助化学療法はDFSおよびOSの改善に関連することが示された。 一方、 術後MRD陰性例では術後化学療法とDFSおよびOSの改善に関連は認められなかった。 研究結果はJAMA Oncologyに発表された。
術前化学療法群では治療レジメンにばらつきがあり、 これが結果に影響を与えた可能性があります。
大腸癌肝転移の根治的切除後の補助化学療法の有益性については依然として明らかにされておらず、 一貫したOSベネフィットは示されていない。 また、 術後治療が最適な患者の選択方法も確立されていない。
そこで著者らは、 ctDNAで定義されたMRDの状態と生存アウトカムとの関連、 さらにMRDの状態によって術後補助化学療法の有益性が異なるかどうかを評価するため、 本研究を実施した。
本研究はCIRCULATE-JapanのGALAXY試験に2020年5月~2024年7月に登録された切除大腸癌肝転移患者298例を対象とする前向き観察研究である。 術後2~10週にctDNA測定結果が得られた患者を組み入れ、 術前化学療法施行群(107例) と手術先行群 (191例) に分けて解析した。
主要評価項目はDFSとOSで、 Cox比例ハザードモデルを用いてHRを算出した。
解析対象者の年齢中央値は67歳 (範囲33~85)で192例 (64.4%) が男性であった。 追跡期間中央値は43.2ヵ月 (範囲1~68ヵ月) であった。
手術先行群 (191例) では、 術後MRD陽性はMRD陰性と比べてDFS不良 (HR 4.14, 95%CI 2.69-6.36, p<0.001) およびOS不良 (HR 9.13, 95%CI 4.44-18.78, p<0.001) に強く関連していた。
手術先行群の術後MRD陽性例では、 経過観察群と比べて術後補助化学療法がDFS改善 (HR 0.07, 95%CI 0.02-0.24, p<0.001) およびOS改善 (HR 0.27, 95%CI 0.08-0.88, p=0.03) に関連していた。 48ヵ月DFS率は術後補助化学療法群で37.5%(95%CI 15.4-59.8)、 経過観察群で未到達 (NR) であった。 48ヵ月OS率は術後補助化学療法群で65.3% (95%CI 30.8-85.7%)、 経過観察群で32.9% (95%CI 17.4-49.3%)であった。
一方、 MRD陰性例では術後補助化学療法によるDFS (HR 0.69, 95%CI 0.32-1.50, p=0.36)またはOS (HR 0.54, 95%CI 0.10-2.88, p=0.47) の改善との関連は示されなかった。
術前化学療法施行後に手術を受けた群(107例) においても術後MRD陽性は予後不良と関連し、 DFS (HR 4.82, 95%CI 2.92-7.97, p<0.001)とOS (HR 9.43, 95%CI 2.78-31.96, p<0.001) はいずれも不良であった。 一方、 術前化学療法群ではMRDの状態にかかわらず術後補助化学療法とDFSまたはOSの改善との関連は示されなかった。
著者らは、 「本研究では術後のctDNAに基づくMRDの状態によって大腸癌肝転移の切除術後に術後補助化学療法によるOS改善効果が期待できる患者を識別できる可能性が示された。 一方、 MRD陰性例では術後補助化学療法による明確なベネフィットが認められなかったものの長期OSは良好であった。 この結果は、 特に手術先行例においてctDNAに基づく補助療法戦略を前向きに検証することを支持するものである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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