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7日前

【海外論文】PPIの使用は死亡リスク増加とは関連せず (Protopathic biasとは?)


Loらは, Nurses' Health Study (2004~2018年) とHealth Professionals Follow-up Study (2004~2018年) のデータを基に, プロトンポンプ阻害薬 (PPI) の使用に伴う死亡リスクを前向きコホート研究で検討. その結果, PPIの使用は全死亡および主要原因による死亡のリスクの増加とは関連しないことが明らかとなった. 本研究は, Gastroenterology誌において発表された.

背景

PPIの使用は, 過去20年間で急速に増加している. 一部の識者の間では、 PPIを常用することが死亡と関連しているのではという懸念がある.

研究デザイン

Nurses' Health Study, Health Professionals Follow-up Studyから収集したデータを用いて, 前向きコホート研究を実施.
  • Cox比例ハザードモデルを使用し, PPI使用による死亡率のハザード比 (HR) および95%信頼区間 (CI) を推定した.
  • 因果の逆転を最小限に抑えるため,修正ラグタイム・アプローチを利用した.

研究結果

  • PPI非使用者と比較して, PPI使用者は全死因死亡率, がん, 心血管系疾患, 呼吸器系疾患, 消化器系疾患による死亡率が有意に高くなった.
  • この関連性は最長6年のラグタイム適用により弱まり, 統計的に有意ではなくなった.
  • 全死亡:HR 1.03 (95%CI 0.96-1.10)
  • がん:HR 1.06 (95%CI 0.88-1.28)
  • 心血管系疾患:HR 0.96 (95%CI 0.82-1.12)
  • 呼吸器疾患:HR 1.14 (95%CI 0.89-1.45)
  • 消化器系疾患:HR 1.31 (95%CI 0.80-2.14)
  • PPI使用期間の長さは, 全死亡および原因別死亡のリスクを増加させなかった.

結論

  • 因果の逆転を考慮しても, PPIの使用は, 全死亡および主要原因による死亡のリスクの増加とは関連しなかった.

原著

Lo CH, et al, Association of Proton Pump Inhibitor Use With All-cause and Cause-specific Mortality. Gastroenterology. 2022 Jul 1;S0016-5085(22)00729-6.PMID: 35788344


👨‍⚕️ HOKUTO監修医コメント
Protopathic bias : 因果の逆転とは, 今回の場合ですと疾患 (胃癌の前病変など) の初期症状 (胸焼けとか胃痛とか) としてPPIが投与されて, あたかもPPI投与が胃癌を発生させたように見えてしまうことです. 対処方法としては, ラグタイムを設ける (この期間の曝露はカウントしない) ことがあります.


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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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