未治療の進行又は転移腎細胞癌 (淡明細胞型) 患者において、 アベルマブとアキシチニブの併用療法の効果を、 スニチニブ単独療法を対照に検証した比較試験JAVELIN Renal 101の結果より、 無増悪生存期間 (PFS) および奏効率 (ORR) に対する有益性が示された。
原著論文
▼中間解析結果
Avelumab plus Axitinib versus Sunitinib for Advanced Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med. 2019 Mar 21;380(12):1103-1115. PMID: 30779531
▼追跡結果
Updated efficacy results from the JAVELIN Renal 101 trial: first-line avelumab plus axitinib versus sunitinib in patients with advanced renal cell carcinoma. Ann Oncol. 2020 Aug;31(8):1030-1039. PMID: 32339648
関連レジメン
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JAVELINRenal101試験の概要
対象
未治療の進行又は転移腎細胞癌 (淡明細胞型) 患者
方法
886例を以下の2群に1:1で割り付けた。
アベルマブ10mg/kgを2週毎静注+アキシチニブ5㎎を1日2回経口投与
スニチニブ50㎎を1日1回4週間経口投与後、 2週休薬
評価項目
- 主要評価項目:PD-L1陽性患者集団におけるPFS、 全生存期間 (OS)
- 副次評価項目:全患者集団におけるPFS・OS、 全奏効率 (ORR)、 奏効までの期間 (TTR) 、 奏効期間 (DR) 、 安全性
JAVELINRenal101試験の結果
患者背景
両群間で同様であった。
全症例の63.2%、 腫瘍組織サンプルが得られた症例の69.0%がPD-L1陽性腫瘍であった。
PFS中央値 (95%CI)
PD-L1陽性患者集団
- アベルマブ+アキシチニブ群 :13.8ヵ月 (10.1-20.7ヵ月)
- スニチニブ群:7.0ヵ月 (5.7-9.6ヵ月)
HR0.62 (95%CI 0.490-0.777)、 P<0.0001
全患者集団
- アベルマブ+アキシチニブ群 :13.3ヵ月 (11.1-15.3ヵ月)
- スニチニブ群:8.0ヵ月 (6.7-9.8ヵ月)
HR0.69 (95%CI 0.574-0.825)、 P<0.0001
OS中央値 (95%CI)
PD-L1陽性患者集団
- アベルマブ+アキシチニブ群 :未到達
- スニチニブ群:28.6ヵ月 (27.4ヵ月-推定不能)
HR0.83 (95%CI 0.596-1.151)、 P=0.1301
全患者集団
- アベルマブ+アキシチニブ群 :未到達 (30.0ヵ月-推定不能)
- スニチニブ群:未到達 (27.4ヵ月-推定不能)
HR0.80 (95%CI 0.616-1.027)、 P=0.0392
ORR (95%CI)
PD-L1陽性患者集団
- アベルマブ+アキシチニブ群 :55.9% (49.8-61.9%)
- スニチニブ群:27.2% (22.2-32.8%)
全患者集団
- アベルマブ+アキシチニブ群 :52.5% (47.7-57.2%)
- スニチニブ群:27.3% (23.2-31.6%)
TTR中央値 (95%CI)
PD-L1陽性患者集団
- アベルマブ+アキシチニブ群 :2.0ヵ月 (1.2-20.7ヵ月)
- スニチニブ群:3.1ヵ月 (1.2-12.5ヵ月)
全患者集団
- アベルマブ+アキシチニブ群 :2.7ヵ月 (1.2-20.7ヵ月)
- スニチニブ群:4.0ヵ月 (1.2-18.0ヵ月)
DR中央値 (95%CI)
PD-L1陽性患者集団
- アベルマブ+アキシチニブ群 :18.5ヵ月 (17.8ヵ月-推定不能)
- スニチニブ群:推定不能 (11.2ヵ月-推定不能)
全患者集団
- アベルマブ+アキシチニブ群 :18.5ヵ月 (17.8ヵ月-推定不能)
- スニチニブ群:推定不能 (16.4ヵ月-推定不能)
有害事象
治療関連AE (グレード3以上) の発現率
- アベルマブ+アキシチニブ群 309例 (71.2%)
- スニチニブ群 314例 (71.5%)
著者らの結論
- アベルマブとアキシチニブの併用療法は、 未治療の進行又は転移腎細胞癌患者の初回治療において、 スニチニブと比較し、 PFSに対する有益性を認め、 ORRを約2倍にすることを示した。
- OSに関しては、 追跡期間が不十分であり評価できなかった。