【JAMA Netw Open】70歳以上の手術不能食道癌、 化学放射線療法で生存転帰改善
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【JAMA Netw Open】70歳以上の手術不能食道癌、 化学放射線療法で生存転帰改善

【JAMA Netw Open】70歳以上の手術不能食道癌、 化学放射線療法で生存転帰改善
Wangらは、 70歳以上の食道扁平上皮癌患者を対象に、 化学放射線療法の有効性を多施設共同第Ⅲ相無作為化臨床試験で検討。 その結果、 放射線療法 (SIB-RT) とS-1の併用療法(CRTCT群)はSIB-RT単独(RT群)と比較して、 治療関連の毒性作用を追加することなく生存転帰を改善した。 本研究はJAMA Netw Open誌において発表された。 

📘原著論文

Effectiveness of S-1-Based Chemoradiotherapy in Patients 70 Years and Older With Esophageal Squamous Cell Carcinoma: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2023 May 1;6(5):e2312625. PMID: 37195667

👨‍⚕️監修医師のコメント

COVID-19の影響とのことですが、 CRTCT群の25%が化学療法を完遂できなかったのは大きなlimitationとなります。

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背景

放射線療法と同時併用する動注化学療法は、 手術不能な食道癌患者に対する標準治療である。 しかし、 患者は加齢や合併症により化学療法への忍容性が低下する傾向にある。 QOLを低下させることなく生存率を向上させるより良い治療法を見つけることが不可欠である。

研究デザイン

対象

手術不能で局所進行し、 臨床病期II~IV期の食道扁平上皮癌患者:330例

介入

患者を以下の群に無作為に割り付け

  • CRTCT群:SIB-RTと経口S-1化学療法を併用
  • RT群:SIB-RT単独
両群とも、 計画総腫瘍体積に59.92Gy、 計画標的体積に50.4Gyの放射線をそれぞれ28回に分けて照射した。 CRTCT群では、 放射線治療日にS-1を同時投与し、 SIB-RT後4~8週目に連結S-1を投与した。

主要評価項目

intent-to-treat集団の全生存期間 (OS)

副次評価項目

無増悪生存期間 (PFS) と毒性プロファイル

研究結果

OS

CRTCT群はRT群と比較して1年後 (72.2% vs 62.3%)、 3年後 (46.2% vs 33.9%) のOSが改善した。

PFS

CRTCT群はRT群と比較して1年後 (60.8% vs 49.3%)、 3年後 (37.3% vs 27.9%) のPFSが改善した。

安全性評価

グレード3以上の治療関連毒性

  • 2群間でグレード3以上の治療関連毒性の発現率に有意差はなかった。

グレード5の毒性作用

  • CRTCT群:肺炎3例、 発熱2例など
  • RT群:骨髄抑制1例、 肺炎4例

結論

SIB-RTとS-1化学療法の併用は、 SIB-RT単独と比較して、 治療関連の毒性を追加することなく生存転帰を改善したことから、 70歳以上の手術不能食道扁平上皮癌患者に対する代替治療選択肢として考慮されるべきである。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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