【JAMA Surg】HIPEC併用で大腸癌の3年局所制御率が改善:第Ⅲ相RCT
著者

海外ジャーナルクラブ

1年前

【JAMA Surg】HIPEC併用で大腸癌の3年局所制御率が改善:第Ⅲ相RCT

【JAMA Surg】HIPEC併用で大腸癌の3年局所制御率が改善:第Ⅲ相RCT
Arjona-Sánchezらは、 局所進行原発性大腸癌の患者を対象に、 術中腹腔内温熱化学療法 (HIPEC) の有効性と安全性を第Ⅲ相非盲検ランダム化比較試験で検討。 その結果、 局所進行原発性大腸癌に対する外科的切除にHIPECを追加することで、 手術単独と比較して3年間の局所制御 (LC) 率が改善したことが明らかとなった。 本研究はJAMA Surg誌において発表された。

📘原著論文

Efficacy and Safety of Intraoperative Hyperthermic Intraperitoneal Chemotherapy for Locally Advanced Colon Cancer: A Phase 3 Randomized Clinical Trial.JAMA Surg. 2023 Apr 26;e230662. PMID: 37099280

👨‍⚕️監修医師のコメント

本 RCTでは、 事前のサンプルサイズ設定の際の予測LC率が82% vs. 64%で片群100例という非常にシンプルなデザインでした。 実際の結果が98% vs. 88%, p=0.03となっており、 対照群の高いLC率に対してもしっかりと有意差を出せたことは研究グループの持ち合わせた運のようなものも感じます。

またabstractの結論にはThis approach should be considered…と書かれていますが、 テキストの結論にはこのような強い記載はありません。 是非とも両方の結論を読み比べてみてください、 研究全体の真の理解が深まります。

🔢関連コンテンツ

大腸癌のTNM分類 (UICC-8版)

大腸癌 (結腸および直腸) の臨床病期分類 (UICC-8版)

大腸癌のTNM分類 (規約版)

大腸癌の進行度分類 (取扱い規約第9版)

背景

局所進行大腸癌 (T4ステージ) 患者における腹膜転移は、 外科的切除から3年後の再発率が約25%と推定され、 予後不良と関連する。 このような患者に対する予防的なHIPECの臨床的有用性については、 議論がある。

研究デザイン

対象

18~75歳の局所進行原発性大腸癌 (cT4N02M0) の患者。

介入

患者を以下の群に1:1でランダムに割り付け。

  • HIPEC群:89例
腫瘍摘出術+マイトマイシンCによるHIPEC
  • 対照群:95例
腫瘍摘出術単独

主要評価項目

3年LC率

副次評価項目

無病生存率 (DFS)、 全生存率 (OS)、 罹患率、 有害事象発生率

研究結果

3年LC率

  • HIPEC群:97.6%
  • 対照群:87.6%
log-rank P=0.03
HR 0.21、 95%CI 0.05-0.95

DFS

  • HIPEC群:81.2%
  • 対照群:78.0%
log-rank P=0.22
HR 0.71、 95%CI 0.41-1.22

OS

  • HIPEC群:91.7%
  • 対照群:92.9%
log-rank P=0.68
HR 0.79、 95%CI 0.26-2.37

サブグループ解析

pT4病変のサブグループでは、 治験薬治療後の3年LC率が顕著に改善した。

  • HIPEC群:98.3%
  • 対照薬:82.1%
log-rank P=0.003
HR 0.09、 95%CI 0.01-0.70

安全性評価

合併症の罹患率や有害事象に群間差は認められなかった。

結論

局所進行大腸癌に対する外科的切除にHIPECを追加することで、 手術単独と比較して3年LC率が改善した。 このアプローチは、 局所進行大腸癌患者に対して考慮されるべきである。

こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【JAMA Surg】HIPEC併用で大腸癌の3年局所制御率が改善:第Ⅲ相RCT