海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前
Tsai氏らは、 オリゴ転移のある乳癌および非小細胞肺癌 (NSCLC) を対象に、 体幹部定位放射線治療 (SBRT) +標準治療が無増悪生存期間 (PFS) に及ぼす影響について、 第Ⅱ相非盲検無作為化試験で検討した。 その結果、 NSCLC患者においてはSBRT+標準治療が標準治療単独に比べてPFSを有意に延長した一方で、 乳癌患者ではSBRT+標準治療の有益性は認められなかった。 本研究はLancet誌に掲載された。
本研究は第Ⅱ相非盲検無作為化試験 (RCT) が特徴です。 単アーム試験 (Historical controlとの比較) の限界を克服できるという利点と、 第II相RCTでの有意差は当てにならない、 という批判が混在しています。
転移性癌患者の多くは最終的に全身治療に対して抵抗性を示すが、 一部の患者は限定的な病勢進行である 「オリゴ転移」 を示す。 オリゴ転移部位を標的としたSBRTが患者転帰を改善可能か否かについて評価が必要である。
少なくとも1次全身治療を受けたオリゴ転移*のある、 18歳以上の乳癌またはNSCLC患者 : 106例
患者を1 : 1の割合で無作為に割り付けた。
最長12ヵ月までのPFS
全体
HR 0.53 (95%CI 0.35-0.81)、p=0.0035
NSCLC患者
HR 0.41 (95%CI 0.22-0.75) p=0.0039
乳癌患者
両群に有意差は認められなかった。
HR 0.78 (95%CI 0.43-1.43)、 p=0.43)
Grade2以上の有害事象発現率
また、 SBRT+標準治療群群の16%ではGrade2以上のSBRT関連毒性が認められた。
オリゴ転移のある癌患者に対するSBRT+標準治療群は、 標準治療単独群と比較してPFSを延長した。 特にNSCLC患者においては同治療がPFSを4倍以上延長したことから、 有効性のある治療である可能性が示された。 一方で、 乳癌患者では有益性は認められなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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