【Lancet】オリゴ転移例への全身治療+SBRT、NSCLCでは予後改善も乳癌では改善せず
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海外ジャーナルクラブ

10ヶ月前

【Lancet】オリゴ転移例への全身治療+SBRT、NSCLCでは予後改善も乳癌では改善せず

【Lancet】オリゴ転移例への全身治療+SBRT、NSCLCでは予後改善も乳癌では改善せず
Tsai氏らは、 オリゴ転移のある乳癌および非小細胞肺癌 (NSCLC) を対象に、 体幹部定位放射線治療 (SBRT) +標準治療が無増悪生存期間 (PFS) に及ぼす影響について、 第Ⅱ相非盲検無作為化試験で検討した。 その結果、 NSCLC患者においてはSBRT+標準治療が標準治療単独に比べてPFSを有意に延長した一方で、 乳癌患者ではSBRT+標準治療の有益性は認められなかった。 本研究はLancet誌に掲載された。

📘原著論文

Standard-of-care systemic therapy with or without stereotactic body radiotherapy in patients with oligoprogressive breast cancer or non-small-cell lung cancer (Consolidative Use of Radiotherapy to Block [CURB] oligoprogression): an open-label, randomised, controlled, phase 2 study. Lancet. 2023 Dec 14:S0140-6736(23)01857-3. PMID: 38104577

👨‍⚕HOKUTO監修医コメント

本研究は第Ⅱ相非盲検無作為化試験 (RCT) が特徴です。 単アーム試験 (Historical controlとの比較) の限界を克服できるという利点と、 第II相RCTでの有意差は当てにならない、 という批判が混在しています。

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肺癌のTNM臨床病期分類

乳癌のTNM臨床病期分類

研究の背景

転移性癌患者の多くは最終的に全身治療に対して抵抗性を示すが、 一部の患者は限定的な病勢進行である 「オリゴ転移」 を示す。 オリゴ転移部位を標的としたSBRTが患者転帰を改善可能か否かについて評価が必要である。

研究デザイン

対象

少なくとも1次全身治療を受けたオリゴ転移*のある、 18歳以上の乳癌またはNSCLC患者 : 106例

*PET-CTまたはCTで進行性病変が5個以下であることと定義

介入

患者を1 : 1の割合で無作為に割り付けた。

  • SBRT+標準治療群 (55例 : うち乳癌患者24例、 NSCLC患者31例)
  • 標準治療単独群 (51例 : うち乳癌患者23例、 NSCLC患者28例)

主要評価項目

最長12ヵ月までのPFS

研究結果

PFS中央値

全体

  • SBRT+標準治療群 : 7.2ヵ月
(95%CI 4.5-10.0ヵ月)
  • 標準治療単独群 : 3.2ヵ月
(95%CI 2.0-4.5ヵ月)
HR 0.53 (95%CI 0.35-0.81)、p=0.0035

NSCLC患者

  • SBRT+標準治療群 : 10.0ヵ月
(95%CI 7.2ヵ月-未到達)
  • 標準治療単独群 : 2.2ヵ月
(95%CI 2.0-4.5ヵ月)
HR 0.41 (95%CI 0.22-0.75) p=0.0039

乳癌患者

両群に有意差は認められなかった。

  • SBRT+標準治療群 : 4-4ヵ月
(95%CI 2.5-8.7ヵ月)
  • 標準治療単独群 : 4.2ヵ月
(95%CI 1.8-5.5ヵ月)
HR 0.78 (95%CI 0.43-1.43)、 p=0.43) 

安全性評価

Grade2以上の有害事象発現率

  • SBRT+標準治療群 : 62% (34例)
  • 標準治療単独群 : 41% (21例)

また、 SBRT+標準治療群群の16%ではGrade2以上のSBRT関連毒性が認められた。

結論

オリゴ転移のある癌患者に対するSBRT+標準治療群は、 標準治療単独群と比較してPFSを延長した。 特にNSCLC患者においては同治療がPFSを4倍以上延長したことから、 有効性のある治療である可能性が示された。 一方で、 乳癌患者では有益性は認められなかった。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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