【解説】学会抄録・論文執筆 「ClaudeとChatGPTをどう使い分けるか」
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HOKUTO編集部

8日前

【解説】学会抄録・論文執筆 「ClaudeとChatGPTをどう使い分けるか」

【解説】学会抄録・論文執筆 「ClaudeとChatGPTをどう使い分けるか」
生成AIの医療活用におけるトップランナーの1人である大塚篤司先生 (近畿大学皮膚科学教室 主任教授) による連載です。 臨床業務の場面ごとに 「今はどのAIツールをどう使い分けるか」 を、 先生の最新の実践知で解説いただきます。 今回は学会抄録と論文の執筆についてです。

はじめに

学会抄録を書く時にAIを使った場面を思い出してほしい。 文字数を減らしてもらったら、 肝心の結果まで消えてしまう。 英語に直してもらったら、 自分が言いたかったことより強い結論になっている。 このような経験はないだろうか。

文章が滑らかになるほど、 こうした変化には気付きにくい。 前回は文献を探すAIを紹介したが、 今回は集めた材料から原稿を書く使い方を紹介する。

>>前回の解説記事を確認する

大塚篤司氏:文献検索 「ChatGPTより頼れるAI」

Claudeで下書き、ChatGPTで点検

筆者はClaudeの日本語がしっくりくる。 そこで、 下書きはClaudeに頼み、 その原稿をChatGPTで点検する使い方を勧めたい。 両方とも文章の作成や修正に使えるが、 ここでは役割を分ける。

Claudeが下書きした文章を、 ChatGPTに点検させる際は、 「もっとよい文章にして」 ではなく、 「元の情報と食い違う箇所を挙げて」 と頼む。 ただし、 ChatGPTが 「食い違いはない」 と判断しても、 内容の正しさが保証されるわけではない。 ChatGPTは、 人間が重点的に読み直す箇所を見つけるために使う。

練習には、 自分の公開済み論文1報を使う。 患者情報や未公開の研究データは個人利用のAIに入力しない。 投稿前の原稿を使う場合は、 所属施設や共同研究者がAIの利用を認めているかどうかを確認する。

最初は抄録を1本作る

まず、 選んだ論文の目的・方法・結果・限界を自分で短く書き出し、 メモを作成する。 その際、 症例数、 観察期間、 主要な結果の数値は省かない。

このメモと提出先の学会の字数規定をClaudeに入力し、 次のように頼む。

このメモだけを使い、 背景、 目的、 方法、 結果、 結論の順で800字以内の抄録案を書いてください。 数値を変えず、 書かれていない情報は補わず 「要確認」 としてください。 結論は結果から言える範囲にとどめてください。

なお、 800字は練習用の指定なので、 実際には学会の規定に置き換える。 続いて、 同じメモと抄録案をChatGPTの新しい会話に貼り付ける。

元のメモと抄録案を照合してください。 数値の不一致、 抜けた結果、 根拠より強い結論を、 該当箇所と理由付きで挙げてください。 文章の書き直しはまだ不要です。

ChatGPTの指摘は、 自分で元の論文と照らし、 妥当なものだけを反映する。 字数もAIの申告を鵜呑みにせず、 学会の登録画面で確認する。

論文は 「方法と結果」 から書く

論文でも、 Claudeによる下書きとChatGPTによる点検を一節ずつ繰り返す。 筆者なら、 まず方法と結果を文章にし、 序論と考察はその後に書く。 「何を調べ、 何が分かったか」 を先に明確にすると、 考察だけが膨らむのを防ぎやすい。

AIに考察を頼むときは、 前回紹介した 「出典が付くAIツール」 で確認した文献を指定する。 「どの文献が、 どの説明の根拠になるか」 も示させ、 引用箇所を原文と照合する。 倫理審査や解析方法について不足している情報を、 AIに推測で補わせてはならない。

英訳では、 数値だけでなく、 結論の強さを確認したい。 日本語で 「関連した」 と書いた箇所が、 英語で 「引き起こした」 になれば、 研究の意味が変わる。 元の日本語と英文を並べ、 因果関係を言い過ぎていないかを確認する。

投稿前に著者がすべきこと

医学雑誌編集者国際委員会 (ICMJE) は、 AIを著者として認めず、 人間が内容に責任を持つことを求めている。 AIを使用した場合は、 カバーレターと投稿原稿の該当箇所に利用方法を開示する。 開示しなければ、 状況によっては不正行為とみなされることがある¹⁾。 投稿先の最新規定に従い、 使ったサービス名と用途を記録しておくと、 申告時に困らない。

おわりに

まずは自分の公開済み論文を使って、 抄録案を1つ作ってみてほしい。 原稿作成と修正にかかった時間を記録すれば、 AIが自分の執筆に役立つかどうかを判断できる。 文章を直す時間が減ったら、 その分をほかのことに使える。

【解説】学会抄録・論文執筆 「ClaudeとChatGPTをどう使い分けるか」

出典

1) International Committee of Medical Journal Editors: Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly Work in Medical Journals. V. Use of Artificial Intelligence in Publishing. A. Use of AI by Authors. Updated January 2026.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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