海外ジャーナルクラブ
2日前

Germesらは、 フランスにおいて、 急性虫垂炎に対して虫垂切除術を受けた成人患者における偶発性虫垂腫瘍の検出率およびその臨床的特徴を基に、 抗菌薬単独療法選択時に虫垂腫瘍を見逃す腫瘍学的リスクを後ろ向き単施設コホート研究で評価した。 その結果、 偶発性虫垂腫瘍の多くが小型かつ低悪性度の神経内分泌腫瘍 (NET) であり、 侵襲性の高い悪性腫瘍は識別可能な高リスク所見を有する症例に限られることが示された。 本研究はJAMA Surg誌において発表された。
本研究は後ろ向き単施設研究であり、 症例数不足や画像評価の非標準化に加え、 多変量解析が困難であるため、 結果の一般化および解釈には一定の制限があります。
急性単純性虫垂炎に抗菌薬は有効か? 10年再発率は37.8%
近年、 単純急性虫垂炎に対する抗菌薬単独療法が広がる一方で、 手術を回避することによる虫垂腫瘍の見逃しが懸念されている。
そこで本研究では、 急性虫垂炎に対する虫垂切除術後に認められた偶発性虫垂腫瘍の検出率、 組織学的特徴、 およびその予測因子を評価した。
フランス・パリのサン・アントワーヌ病院の三次救急外科センターにおいて、 急性虫垂炎に対して虫垂切除術を受けた成人患者2,293例を対象に単施設後ろ向きコホート研究を実施し、 術前の臨床所見、 検査値、 および画像所見を虫垂腫瘍の潜在的予測因子として評価した。
主な評価項目は、 虫垂切除術後に確認された偶発性虫垂腫瘍の検出率および組織病理学的分類、 ならびに侵襲性腫瘍に関連する術前の臨床的および画像学的因子であった。
対象2,293例の年齢中央値は32歳 (四分位範囲 [IQR] 25-43歳) で、 999例 (44%) が女性であった。
虫垂切除術後、 37例 (1.6%) に悪性または前悪性病変、 8例 (0.3%) に良性非異形成病変が認められた。
最も多かったのはNET (22例) で、 全例がGrade1 (G1) かつ2cm未満であり、 このうち19例 (86%) は1cm以下で、 34ヵ月の追跡期間中に再発は認められなかった。 そのほか、 低悪性度虫垂粘液性新生物が5例、 転移性腫瘍が3例、 杯細胞癌が2例、 粘液性腺癌が1例、 低悪性度異形成性ポリープが4例で確認された。
一方、 侵襲性腫瘍 (2cm未満のG1 NETおよび低悪性度異形成性ポリープを除く) は、 非腫瘍性虫垂炎と比べて高齢患者に多く認められた (年齢中央値 45.0歳 [IQR 37.8-57.2歳] vs 32歳 [IQR 25.0-43.0歳]、 p=0.03)。 また、 虫垂径も大きく (18.0mm vs 11.0mm、 p<0.001)、 画像上の複雑性虫垂炎の疑いも多かった (55% vs 13%、 p=0.001)。
NETについては、 単変量解析において、 検討した臨床的・画像学的因子のいずれでも非腫瘍性虫垂炎と識別することはできなかった。
単変量解析から導出した抗菌薬単独療法の適格基準 (腹痛持続期間<14日、 年齢<60歳、 画像上で単純性虫垂炎、 虫垂径<15mm、 ならびに虫垂・腹膜・肝臓・骨に疑わしい病変を認めないこと) を適用すると、 侵襲性腫瘍を有する患者で、これらすべての基準を満たした者はいなかった。
一方、 小型G1 NET 22例中17例 (77%) および低悪性度異形成性ポリープ4例中1例 (25%) は、 この基準を満たしていた。 これらすべての選択基準を組み合わせると、 コホート全体の74%が潜在的な抗菌薬単独療法適格と判定され、 単純性虫垂炎サブグループでは85%が適格であったと推定された。
著者らは 「本研究では、 偶発性虫垂腫瘍の多くが小型かつ低悪性度のNETであり、 侵襲性の高い悪性腫瘍は識別可能な高リスク所見を有する症例に限られることが示された。 術前選別基準を組み合わせることで侵襲性腫瘍を有する患者を確実に除外可能であり、 厳格に選別した患者における抗菌薬単独療法の腫瘍学的安全性が支持された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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