海外ジャーナルクラブ
1年前
Mercadoは、 全身麻酔による非心臓手術を受けた成人患者を対象に、 術中のオピオイド投与量と術後の疼痛およびオピオイド投与量との関連を後ろ向きコホート研究で検討。 その結果、 術中のオピオイド使用量が減ると、 術後の疼痛およびオピオイド投与量が増加することが明らかになった。 本研究はJAMA Surg誌において発表された。
本文のconclusionがなんと262 wordsあります。 これははっきりとした強い結論が言えない裏返しとも言えます。
オピオイドは術後疼痛治療のために投与される一方、 その長期使用による問題が指摘されている。 周術期疼痛管理におけるオピオイドフリーまたはオピオイド温存の方法を推進する取り組みにより、 手術室でのオピオイド投与は減少しているが、 術中のオピオイド使用量とその後のオピオイド必要量との関係がよく理解されていないため、 この減少は術後疼痛の転帰において予期せぬ有害な影響を及ぼす可能性がある。
2016年4月~20年3月に全身麻酔による非心臓手術を受けた成人患者について、 4次ケア学術医療センター (マサチューセッツ総合病院) の電子カルテデータを評価
術中フェンタニルおよび術中ヒドロモルフォン平均効果部位濃度は薬物動態/薬力学モデルを用いて推定した。
術中のフェンタニルおよび術中のヒドロモルフォンの増加は、 いずれもPACUにおける最大疼痛スコアの低下と関連していた。
術中のフェンタニルおよび術中のヒドロモルフォンの増加は、 PACUにおけるオピオイド使用頻度の低下や累積投与量の減少とも関連していた。
フェンタニル投与量の増加は、 制御不能な疼痛の発生頻度の低下、 3カ月時点の新たな慢性疼痛の診断の減少、 30日、 90日、 180日後のオピオイド処方の減少、 新たな持続的オピオイド使用の減少と関連しており、 一方で副作用の有意な増加は認められなかった。
手術中のオピオイド投与を減らすことは、 術後の疼痛およびオピオイドの消費を増加させる結果をもたらす可能性がある。 逆に、 手術中のオピオイド投与を最適化することにより、 長期転帰の改善が達成されるかもしれない。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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