栄養療法マニュアル
1年前
造血幹細胞移植は内科領域の治療の中では最も毒性の強い治療であり、それに伴い多くの患者さんにおいて経口摂取が困難となることがほとんどのため、その栄養管理が重要となります。しかし、その特殊性もあって造血幹細胞移植の栄養管理に焦点を当てた研究は世界的にも乏しい状況が続いています。その為、造血幹細胞移植領域における栄養管理をどのようにすれば最善かという点については不明確なことが多く、ある程度の目安がないと実臨床でも困るケースが多いのではないかと思います。
実際、本邦は先進国の中でも珍しいことに、経静脈栄養の内容を医師が自分で考えて処方までするシステムが現在でも続いています。他の先進国では専門性の高い栄養士や薬剤師等の関与が大きくあり、医師はあまり経静脈栄養に関して深く関与していない状況です。栄養管理以外にも多々勉強しないといけない医師が自ら栄養管理についてまで詳細に情報を収集するのは難しいと思います。このような問題点を少しでも解決する為に、今回HOKUTOの企画として造血幹細胞移植の栄養管理に関してのシリーズを書かせて頂くこととなりました。
上述の通り造血幹細胞移植の領域に特化した研究が乏しいことから、ガイドライン等を参考にしつつ、他の領域からの情報もよせ集めた形にはなりますが、実臨床において使いやすいようにできるだけ具体的な値を記載いたしましたので、それを参考に処方内容を検討頂ければと考えております。また、栄養管理の基本的な内容としては移植に限らず参考にして頂けるものと思います。このシリーズが皆様の日常診療の一助になれば幸いです。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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