【SENOMAC】SLN微小転移陽性乳癌への腋窩リンパ節郭清、省略してもRFSに影響せず
著者

HOKUTO編集部

5ヶ月前

【SENOMAC】SLN微小転移陽性乳癌への腋窩リンパ節郭清、省略してもRFSに影響せず

【SENOMAC】SLN微小転移陽性乳癌への腋窩リンパ節郭清、省略してもRFSに影響せず
1~2個のセンチネルリンパ節 (SLN) マクロ転移を有する原発性乳癌 (cT1~3cN0) 患者を対象に、 腋窩リンパ節郭清省略の郭清施行群に対する非劣性を評価した国際無作為化試験SENOMACの結果より、 腋窩リンパ節郭清 (cALND) を省略しても無再発生存期間 (RFS) に差のないことが示された。 スウェーデン・Karolinska InstitutetのJana de Boniface氏が発表した。

背景

臨床的にリンパ節転移陰性の乳癌患者に対し、 SLN生検陽性後のcALNDを省略することは、 乳房温存手術後に全乳房照射を行う場合、 および乳房手術を問わず腋窩放射線療法を行う場合において、劣らない生存成績が実証されている。 しかしながら乳房切除患者の割合が少なく、 患者数が限られていたため、 2015年にSENOMAC試験が開始された。 今回は副次的評価項目であるRFSの結果が報告された。

研究デザイン

対象

1~2個のSLNマクロ転移を有する、 臨床的に陰性の原発性乳癌 (cT1~3cN0) 患者

方法

2,540例を以下の2群に1 : 1に割り付けた

  • 標準群 (1,205例)
腋窩リンパ節郭清を行う
  • 省略群 (1,335例)
腋窩リンパ節郭清を行わない

評価項目

主要評価項目 : 全生存期間 (OS)

副次評価項目 : RFS

研究結果

追跡期間中央値

47ヵ月

患者背景

年齢、 性

  • 年齢中央値 : 61歳 (うち65歳以上の患者が40%)
  • 男性0.4%、 女性99.6%

腫瘍

  • 腫瘍径の中央値 : 20mm (T3は5.8%)
  • 葉状腫瘍 : 19.8%
  • エストロゲン受容体陽性およびHER2陰性 : 86.6%

腋窩

  • SLNマクロ転移が1個であった患者割合 : 84.7%
  • 節外浸潤 : 34.3%
  • SLNミクロ転移の追加 : 10.2%
  • 腋窩郭清における非SLN転移 : 34.5% (SLN転移が1個の場合は31.3%、 2個の場合は51.3%)
  • 病理学的評価 (標準群/介入群)
  • pN1 1,016例 (84.3%) / 1,311例 (98.2%)
  • pN2 116例 (9.6%) / 7例 (0.5%)
  • pN3 35例 (2.9%) / 0例 (0%)

治療歴

  • 乳房切除術 : 36.2%
  • 術後放射線療法 : 標準群88.0%、 介入群89.4%
  • 27 例を除いて全身療法が実施されていた。
  • 化学療法 1,649例 (64.9%)
  • 内分泌療法 2,335例 (91.9%)
  • HER2標的治療 224例 (8.8%)

RFS

  • 標準群 : 8.0% (96例)
  • 介入群 : 7.1% (95例)

5年時RFS率

  • 標準群 : 88.7%
(95%CI 86.3-91.1%)
  • 介入群 : 89.7%
(95%CI 87.5-91.9%)
HR 0.89 (95%CI 0.66-1.19)、 p<0.001

RFSのサブグループ解析

ER+/HER2+のサブグループにおいてのみ、介入群で良好な傾向を認めたものの、他のサブグループでは両群に差を認めなかった。

以下、HR(95%CI)

T分類

  • T1~2 : 0.94 (0.69-1.28)
  • T3 : 0.47 (0.16-1.39)

マクロ転移の個数

  • 1個 : 0.92 (0.67-1.27)
  • 2個 : 0.79 (0.39-1.59)

葉状腫瘍

  • 葉状腫瘍 : 0.91 (0.47-1.76)
  • 非葉状腫瘍 : 0.88(0.64-1.23)

術式

  • 乳房温存術 : 0.98 (0.65-1.47)
  • 部分切除術 : 0.79 (0.52-1.21)

節外浸潤の有無

  • あり : 0.94 (0.58-1.54)
  • なし : 0.86 (0.60-1.25)

サブタイプ

  • ER+/HER2- : 0.95 (0.68-1.32)
  • ER+/HER2+ : 0.26 (0.07-0.96)
  • ER-/HER2+ : 1.04 (0.17-6.35)
  • ER-/HER2- : 0.95 (0.39-2.30)

Jana de Boniface氏らの結論

1~2個のSLNマクロ転移を有する原発性乳癌 (cT1~3cN0) 患者において、 介入群 (cALND省略) と標準群でRFSに差は認めず、 cALND省略の非劣性が示された。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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