HOKUTO編集部
3ヶ月前
KRAS G12C遺伝子変異陽性固形癌を対象に、 第2世代KRAS G12C阻害薬olomorasibの有効性と安全性を評価した第Ⅰ/Ⅱ相試験において、 進行NSCLCへのolomorasib+抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用療法を評価した前治療歴あり/なしコホートの結果から、 併用療法の有望な抗腫瘍活性と良好な忍容性が示された。 愛知県がんセンター呼吸器内科部長の藤原豊氏が発表した。
免疫療法はKRAS遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌 (NSCLC) の第1選択治療として確立しているが、 予後は依然として不良である。
第2世代KRAS G12C阻害薬であるolomorasibは、 単剤療法でこれまでに良好な安全性プロファイルを示し、 中枢神経系への活性を含めて複数の腫瘍型で有望な効果を認めている。
今回、 第Ⅰ/Ⅱ相試験LOXO-RAS-20001で対象とされたKRAS G12C変異陽性固形癌患者のうち、 NSCLCにおけるolomorasib+ペムブロリズマブ併用療法の治療成績が報告された。
今回の発表では、 NSCLCで化学療法、 抗PD-(L)1抗体、 KRAS G12C阻害薬の前治療歴がある患者を含むコホートB4 (48例)、 およびNSCLCの転移性病変に対する前治療歴がないコホートG (16例) の結果が報告された。
主な評価項目は、 安全性・忍容性、 最大耐量(MTD)、 第Ⅱ相試験推奨用量 (RP2D)、 薬物動態、 RECISTv1.1基準に基づく奏効率 (ORR) および奏効期間 (DoR) などであった。
年齢中央値67歳、 男性53%、 アジア人 27%で、 その他の患者背景は以下のとおりであった。
結果、 Grade 3の治療関連有害事象 (TRAE) の発現率は25%、 Grade 4は2%であった。 Grade 3のTRAEのうち、 下痢 (13%)、 ALT上昇 (6%)、 AST上昇 (8%) が多くみられた。
また、 olomorasibの減薬/中止、 ペムブロリズマブの中止に至ったTRAE発現率は、それぞれ17%、 3%、 11%であった。
ORRは以下のとおりで、 前治療歴に関わらず良好な抗腫瘍活性を示した。
- 前治療歴なし : 77% (17例中13例)
- 前治療歴あり : 40% (43例中17例)
また、 奏効までに要する時間の中央値は1.4ヵ月、 奏効期間中央値は評価不能 (NE) で、 病勢コントロール率は前治療歴なしで88%、 前治療歴ありで81%であった。
追跡期間中央値5.5ヵ月において、前治療歴なし患者のPFS中央値はNE (95%CI 3.6ヵ月-NE)、 6ヵ月および12ヵ月PFS率はそれぞれ72.8%、72.8%であった。
▼ソトラシブ+ICIの1次治療は毒性面が課題
KRAS G12C遺伝子変異陽性NSCLCに対して、 第1世代KRAS G12C阻害薬ソトラシブが2次治療以降で承認されています。
しかしながら第1世代KRAS G12C阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の併用は、 肝障害など毒性の観点から耐用不能であり、 ICIが標準治療である1次治療では臨床課題が残ります。
▼安全性・有効性ともに有望な良好
今回、 第2世代KRAS G12C阻害薬olomorasibとペムブロリズマブの安全性、 有効性をASCO Breakthrough 2024で報告しました。 良好な安全性プロファイルと有効性 (未治療例のORR 77%、 KRAS G12C阻害薬を含む既治療例のORR 40%) を示しました。
▼olomorasibの追加効果が検証中
現在、 1次標準治療にolomorasibの追加効果を検証する第Ⅲ相試験が、 日本を含む全世界で実施されています。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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