全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞癌患者において、 レンバチニブの効果を、 ソラフェニブを対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験REFLECTの結果より、 全生存期間 (OS) における非劣性が示された。
原著論文
▼解析結果
Lenvatinib versus sorafenib in first-line treatment of patients with unresectable hepatocellular carcinoma: a randomised phase 3 non-inferiority trial. Lancet. 2018 Mar 24;391(10126):1163-1173. PMID: 29433850
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REFLECT試験の概要
対象
全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞癌患者
方法
954例を以下の2群に1:1で割り付けた。
レンバチニブ12mg/day (体重60kg以上) または8mg/day (体重60kg未満) を投与
ソラフェニブ400mgを1日2回、 28日サイクルで経口投与
評価項目
- 主要評価項目:OS
- 副次評価項目:無増悪生存期間 (PFS) 、 無増悪期間 (TTP) 、 奏効率 (ORR) 、 QOL*、 安全性
*European Organisation for Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire C30 (EORTC QLQ-C30) およびEORTC QLQ-HCC18健康質問票を用いて評価
REFLECT試験の結果
患者背景
ベースラインの肝細胞癌の病因としてのC型肝炎の割合と、 AFP値を除き、 両群で同様であった。
- 年齢 (中央値) :62~63歳
- 男性:84~85%
- アジア人:68~70%
- 体重<60kg:31~32%
- Child-PughスコアA:99%
追跡期間 (中央値)
- レンバチニブ群:27.7ヵ月
- ソラフェニブ群:27.2ヵ月
OS中央値
(95%CI 12.1-14.9ヵ月)
(95%CI 10.4-13.9ヵ月)
HR 0.92 (95%CI 0.79-1.06)
OSのサブグループ解析
ベースラインのAFP<200ng/mLの患者は、 両治療群ともAFP≧200ng/mLの患者よりもOSが長かった。
PFS中央値
(95%CI 6.9–8.8ヵ月)
(95%CI 3.6–4.6ヵ月)
HR 0.66 (95%CI 0.57-0.77)、 p<0.0001
TTP中央値
(95%CI 7.4-9.2ヵ月)
(95%CI 3.6-5.4ヵ月)
HR 0.63 (95%CI 0.53-0.73)、 p<0.0001
ORR
(95%CI 20.2–27.9%)
(95%CI 6.6–11.8%)
オッズ比 3.13 (95%CI 2.15-4.56)、 p<0.0001
QOL
- EORTC QLQ-C30およびEORTC QLQ-HCC18健康質問票のベースラインスコアは両群で同程度であった。
- 治療後、 スコアは両群で低下し、 サマリースコアは治療群間で有意差はなかった。
HR 0.87 (95%CI 0.754-1.013)
有害事象 (AE)
治療関連AE (グレード3以上) の発現率
レンバチニブ群でのAEによる投与中断は40%、 減量は37%、 休薬は9%であった。 ソラフェニブ群では、 投与中断は32%、 減量は38%、 休薬は7%であった。
著者らの結論
全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞癌患者において、 レンバチニブ群はソラフェニブ群と比較し、 OSにおける非劣性が示された。 PFS、 TTP、 ORRにおいては、 有意な改善が認められた。