最新薬剤情報 & 使い分け
2年前
夏は発汗による脱水や電解質異常から「こむら返り」を訴える方が多くなります.
"芍薬甘草湯"は即効性を持つ漢方薬で「急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、 筋肉・関節痛、胃痛、腹痛」に対する適応を有するため、 こむら返りに使用される機会が多くなっていますが、 カンゾウ(甘草)を多く含むため低K血症や偽アルドステロン症に要注意です.
カンゾウといえば芍薬甘草湯のイメージがありますが、 カンゾウが多く配合された漢方薬は芍薬甘草湯のみではありません.
単剤での服用と併せて併用によりカンゾウの服用量が増えてしまうことも少なくありません. カンゾウを多く含む漢方薬をまとめてみます.
甘草湯、 芍薬甘草湯、 甘麦大棗湯、 黄ごん湯、 黄連湯、 桔梗湯、 芎帰膠艾湯、 桂枝人参湯、 五淋散、 炙甘草湯、 小青竜湯、 人参湯、 排膿散及湯、 附子理中湯、 半夏瀉心湯、 乙字湯
カンゾウに含まれるグリチルリチン酸は体内でグリチルレチン酸に代謝されます.
グリチルレチン酸はコルチゾールをコルチゾンに変換する11β-水酸化ステロイド脱水素酵素 (11β-HSD:11β-HydroxySteroid Dehydrogenase) を阻害し、 尿細管におけるコルチゾールを増加させます.
コルチゾールが尿細管のアルドステロン受容体に結合した結果、 ナトリウムの再吸収とカリウムの排泄が促進されてしまい低カリウム血症を起こしやすくなります.
これはアルドステロンが過剰になった場合と臨床症状が類似しているため、 偽アルドステロン症と呼ばれています.
生薬であるカンゾウ (マメ科カンゾウ属の植物を乾燥したもの) に含まれるグリチルリチン酸の量は一定ではありませんが、 カンゾウ1.0gに対するグリチルリチン酸の含有量は40mgが目安とされています.
甘草湯や芍薬甘草湯はカンゾウ含有量が多いですが、 使用期間が短いことを前提に限定的に認められています.
また、 1日あたりのカンゾウの量が2.5gを越す場合、 「アルドステロン症の患者」、 「ミオパチーのある患者」、 「低カリウム血症のある患者」は禁忌とするように定められています.
甘草湯、 芍薬甘草湯、 甘麦大棗湯、 黄ごん湯、 黄連湯、 桔梗湯、 芎帰膠艾湯、 桂枝人参湯、 五淋散、 炙甘草湯、 小青竜湯、 人参湯、 排膿散及湯、 附子理中湯、 半夏瀉心湯、 乙字湯
最終更新:2023年8月17日
執筆:ぺんぎん薬剤師 @penguin_pharm
監修:聖路加国際病院救急部 清水真人
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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