【JAMA】中等度~重度ARDSの鎮静、 セボフルラン vs プロポフォール
著者

海外ジャーナルクラブ

29日前

【JAMA】中等度~重度ARDSの鎮静、 セボフルラン vs プロポフォール

【JAMA】中等度~重度ARDSの鎮静、 セボフルラン vs プロポフォール
Jabaudonらは、 中等度~重度の急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) 患者を対象に、 セボフルランによる吸入鎮静の有効性および安全性を、 プロポフォールによる静脈内鎮静を対照とした第Ⅲ相非盲検評価者盲検無作為化比較試験SESARで検討した。 その結果、 セボフルラン吸入はプロポフォール静注と比べて28日時点の人工呼吸器無使用日数が少なく、 90日生存率も低いことが明らかとなった。 研究結果はJAMA誌に発表された。 

📘原著論文

Inhaled Sedation in Acute Respiratory Distress Syndrome: The SESAR Randomized Clinical Trial. JAMA. 2025 Mar 18:e253169. Online ahead of print. PMID: 40098564.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

注目の研究成果です。 ネガティブですが大きなインパクトがあり、 今後の長期アウトカム結果も待たれます。

🔢関連コンテンツ

一回換気量 6~8mL/kg (予測体重)

ARDSなどの肺保護換気設定で使用

目的

セボフルラン吸入の有効性・安全性を、 プロポフォール静注と比較

ARDSにより機械的人工換気を受けている成人患者の、 吸入または静脈内鎮静の使用が転帰に異なる影響を及ぼすか否かは不明である。

そこでSESAR試験では、 ARDS患者に用いるセボフルラン吸入の有効性および安全性をプロポフォール静注と比較した。

研究デザイン

人工呼吸器無使用日数などを評価

フランスの集中治療室37施設で、 中等度~重度の初期ARDS (呼気終末陽圧が8cmH2O以上、 P/F比*が150mmHg未満) 成人患者687例が以下の2群に割り付けられた。

*動脈血酸素分圧 [PaO2] / 吸入気酸素濃度 [FiO2]
  • セボフルランによる吸入鎮静 (セボフルラン群) : 346例
  • プロポフォールによる静脈内鎮静 (プロポフォール群) : 341例

主要評価項目は28日時点の人工呼吸器を使用しないで生存した日数 (人工呼吸器無使用日数)、 主な副次評価項目は90 日生存率であった。

結果

セボフルランの方が28日時点の人工呼吸器無使用日数が少ない傾向

鎮静の総期間中央値は、 両群ともに7日間 (四分位範囲 [IQR] 4~7) であった。

主要評価項目である28日時点の人工呼吸器無使用日数は、 セボフルラン群で0.0日 (IQR 0.0~11.9)、 プロポフォール群で0.0日 (IQR 0.0~18.7) であった (中央値差 -2.1 [95%CI -3.6~-0.7]、 標準化HR 0.76 [95%CI 0.50~0.97])。

セボフルランの方が90日生存率が低い傾向

主な副次評価項目である90日生存率は、 セボフルラン群が47.1%、 プロポフォール群が55.7%であった (HR 1.31 [95%CI 1.05~1.62])。

4つの副次評価項目のうち、 セボフルラン群はプロポフォール群と比べて7日死亡率が高く (19.4% vs 13.5%、 相対リスク[RR] 1.44 [95%CI 1.02~2.03] )、 28日時点までの集中治療室非入室日数が少なかった (中央値 0.0 [IQR 0.0~6.0] vs 0.0 [IQR 0.0-15.0]、 中央値差 -2.5 [95%CI -3.7~-1.4])。

結論

中等度~重度のARDS患者に対するセボフルラン吸入は支持されず

著者らは 「中等度~重度のARDS患者において、 セボフルランによる吸入鎮静は、 プロポフォールによる静脈内鎮静と比べて、 28日時点までの人工呼吸器無使用日数が少なく、 90日生存率が低かった。 この結果より、 この試験では中等度~重度のARDS患者に対するセボフルランによる吸入鎮静は支持されなかった」 と報告している。


※X (旧Twitter) の利用規約に基づき、 サブライセンスが認められている埋め込み形式でポストを紹介しています。 掲載停止のご希望がある場合は、 XのHOKUTO公式アカウント (@HOKUTOmed) までDMでご連絡をお願いします。

ポストのGif画像
【JAMA】中等度~重度ARDSの鎮静、 セボフルラン vs プロポフォールの全コンテンツは、医師会員限定でアプリからご利用いただけます*。
*一部のコンテンツは非医師会員もご利用いただけます
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
【JAMA】中等度~重度ARDSの鎮静、 セボフルラン vs プロポフォール