海外ジャーナルクラブ
29日前
Jabaudonらは、 中等度~重度の急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) 患者を対象に、 セボフルランによる吸入鎮静の有効性および安全性を、 プロポフォールによる静脈内鎮静を対照とした第Ⅲ相非盲検評価者盲検無作為化比較試験SESARで検討した。 その結果、 セボフルラン吸入はプロポフォール静注と比べて28日時点の人工呼吸器無使用日数が少なく、 90日生存率も低いことが明らかとなった。 研究結果はJAMA誌に発表された。
注目の研究成果です。 ネガティブですが大きなインパクトがあり、 今後の長期アウトカム結果も待たれます。
ARDSにより機械的人工換気を受けている成人患者の、 吸入または静脈内鎮静の使用が転帰に異なる影響を及ぼすか否かは不明である。
そこでSESAR試験では、 ARDS患者に用いるセボフルラン吸入の有効性および安全性をプロポフォール静注と比較した。
フランスの集中治療室37施設で、 中等度~重度の初期ARDS (呼気終末陽圧が8cmH2O以上、 P/F比*が150mmHg未満) 成人患者687例が以下の2群に割り付けられた。
主要評価項目は28日時点の人工呼吸器を使用しないで生存した日数 (人工呼吸器無使用日数)、 主な副次評価項目は90 日生存率であった。
鎮静の総期間中央値は、 両群ともに7日間 (四分位範囲 [IQR] 4~7) であった。
主要評価項目である28日時点の人工呼吸器無使用日数は、 セボフルラン群で0.0日 (IQR 0.0~11.9)、 プロポフォール群で0.0日 (IQR 0.0~18.7) であった (中央値差 -2.1 [95%CI -3.6~-0.7]、 標準化HR 0.76 [95%CI 0.50~0.97])。
主な副次評価項目である90日生存率は、 セボフルラン群が47.1%、 プロポフォール群が55.7%であった (HR 1.31 [95%CI 1.05~1.62])。
4つの副次評価項目のうち、 セボフルラン群はプロポフォール群と比べて7日死亡率が高く (19.4% vs 13.5%、 相対リスク[RR] 1.44 [95%CI 1.02~2.03] )、 28日時点までの集中治療室非入室日数が少なかった (中央値 0.0 [IQR 0.0~6.0] vs 0.0 [IQR 0.0-15.0]、 中央値差 -2.5 [95%CI -3.7~-1.4])。
著者らは 「中等度~重度のARDS患者において、 セボフルランによる吸入鎮静は、 プロポフォールによる静脈内鎮静と比べて、 28日時点までの人工呼吸器無使用日数が少なく、 90日生存率が低かった。 この結果より、 この試験では中等度~重度のARDS患者に対するセボフルランによる吸入鎮静は支持されなかった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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