【JAMA Oncol】ERBB2陽性G/GEJ癌にアテゾ追加でpCR改善
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2ヶ月前

【JAMA Oncol】ERBB2陽性G/GEJ癌にアテゾ追加でpCR改善

【JAMA Oncol】ERBB2陽性G/GEJ癌にアテゾ追加でpCR改善
Pengらは、 中国の切除可能ERBB2 (HER2) 陽性の局所進行胃/食道胃接合部腺癌 (G/GEJ) 患者を対象に、 抗PD-L1抗体アテゾリズマブを抗HER2抗体トラスツズマブ+XELOX (カペシタビン+オキサリプラチン) に上乗せしたレジメンの有効性および安全性を多施設共同第Ⅱ相非盲検無作為化試験で検討した。 その結果、 アテゾリズマブ上乗せでは、トラスツズマブ+XELOXとの比較で病理学的完全奏効 (pCR) 率が有意に改善したことが明らかとなった。 研究結果はJAMA Oncol誌に発表された。 

📘原著論文

Atezolizumab and Trastuzumab Plus Chemotherapy for ERBB2-Positive Locally Advanced Resectable Gastric Cancer: A Randomized Clinical Trial. JAMA Oncol. 2025 Apr 17:e250522. Online ahead of print. PMID: 40244574

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

第II相試験結果のため、結論には "these results should be interpreted with caution" や "may be a potential treatment option" という表現を用いて、 第III相試験の結果を期待する柔らかい表現となっています。

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背景

ERBB2陽性G/GEJ癌には標準的な周術期レジメンがない

現在、 ERBB2陽性の局所進行G/GEJ癌に用いる標準的な周術期レジメンがなく、 効果的な治療法が依然として課題となっている。

そこで、 アテゾリズマブ+トラスツズマブ+XELOX (カペシタビン+オキサリプラチン) 併用療法の有効性および安全性を第Ⅱ相非盲検無作為化試験で比較検討した。

研究デザイン

主要評価項目は術前療法および手術完了後のpCR率

中国8施設の切除可能ERBB2 (HER2) 陽性の局所進行GC/GEJC患者42例が以下の2群に割り付けられ、 周術期治療として術前療法3サイクル (1サイクル3週間) および術後療法5サイクルが実施された。

  • アテゾリズマブ+トラスツズマブ+XELOX (アテゾリズマブ併用群): 21例
  • トラスツズマブ+XELOX (対照群): 21例

主要評価項目は術前療法および手術完了後のpCR率であった。

結果

アテゾ併用でpCR率が有意に改善

年齢中央値 (範囲) はアテゾリズマブ併用群が61歳 (33-72歳)、 対照群が65歳 (49-72歳) であり、 39例 (93%) が男性であった。

主要評価項目のpCR率は、 アテゾリズマブ併用群が8例 (38%) で、 対照群の3例 (14%) と比べて有意に高かった (差 23.8%㌽ [90%CI 1.3-44.7%㌽])。 65歳未満、 男性、 腸型Lauren分類*にアテゾリズマブ併用群でのpCR率改善との有意が関連が認められた。

*L胃癌の組織学的分類法の1つ。 腸型 (分化型) とびまん型 (未分化型) の2つに分類される。

EFS、 DFS、 OS中央値はいずれも未到達

無イベント生存期間 (EFS)、 無病生存期間 (DFS)、 全生存期間 (OS) の中央値はいずれも未到達であった。

pCRと同様の解釈で、 主要病理学的奏効率 (MPR) についても両群間で統計的に有意差が示唆されたが、 その他の客観的奏効率 (ORR)  およびR0切除率では有意差が認められなかった。

新たな安全性シグナルは検出されず

治療中に発現した有害事象 (TEAE) は、 アテゾリズマブ併用群の100%、 対照群の100%にみられ、 Grade 3以上のTEAEはそれぞれ57%、 67%、 重篤なTEAEはそれぞれ6例 (29%)、 2例 (10%) に認められた。

結論

周術期療法に用いるトラスツズマブ+XELOXへのアテゾリズマブ上乗せは有望

著者らは 「ERBB2陽性G/GEJ癌に対する周術期療法として、 アテゾリズマブをトラスツズマブ+XELOXに上乗せすることで良好な有効性を示し、 新たな安全性シグナルは検出されなかった」 と報告している。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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