海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Pengらは、 中国の切除可能ERBB2 (HER2) 陽性の局所進行胃/食道胃接合部腺癌 (G/GEJ) 患者を対象に、 抗PD-L1抗体アテゾリズマブを抗HER2抗体トラスツズマブ+XELOX (カペシタビン+オキサリプラチン) に上乗せしたレジメンの有効性および安全性を多施設共同第Ⅱ相非盲検無作為化試験で検討した。 その結果、 アテゾリズマブ上乗せでは、トラスツズマブ+XELOXとの比較で病理学的完全奏効 (pCR) 率が有意に改善したことが明らかとなった。 研究結果はJAMA Oncol誌に発表された。
第II相試験結果のため、結論には "these results should be interpreted with caution" や "may be a potential treatment option" という表現を用いて、 第III相試験の結果を期待する柔らかい表現となっています。
G/GEJ癌1次治療、 sugemalimab併用でOS改善
現在、 ERBB2陽性の局所進行G/GEJ癌に用いる標準的な周術期レジメンがなく、 効果的な治療法が依然として課題となっている。
そこで、 アテゾリズマブ+トラスツズマブ+XELOX (カペシタビン+オキサリプラチン) 併用療法の有効性および安全性を第Ⅱ相非盲検無作為化試験で比較検討した。
中国8施設の切除可能ERBB2 (HER2) 陽性の局所進行GC/GEJC患者42例が以下の2群に割り付けられ、 周術期治療として術前療法3サイクル (1サイクル3週間) および術後療法5サイクルが実施された。
主要評価項目は術前療法および手術完了後のpCR率であった。
年齢中央値 (範囲) はアテゾリズマブ併用群が61歳 (33-72歳)、 対照群が65歳 (49-72歳) であり、 39例 (93%) が男性であった。
主要評価項目のpCR率は、 アテゾリズマブ併用群が8例 (38%) で、 対照群の3例 (14%) と比べて有意に高かった (差 23.8%㌽ [90%CI 1.3-44.7%㌽])。 65歳未満、 男性、 腸型Lauren分類*にアテゾリズマブ併用群でのpCR率改善との有意が関連が認められた。
無イベント生存期間 (EFS)、 無病生存期間 (DFS)、 全生存期間 (OS) の中央値はいずれも未到達であった。
pCRと同様の解釈で、 主要病理学的奏効率 (MPR) についても両群間で統計的に有意差が示唆されたが、 その他の客観的奏効率 (ORR) およびR0切除率では有意差が認められなかった。
治療中に発現した有害事象 (TEAE) は、 アテゾリズマブ併用群の100%、 対照群の100%にみられ、 Grade 3以上のTEAEはそれぞれ57%、 67%、 重篤なTEAEはそれぞれ6例 (29%)、 2例 (10%) に認められた。
著者らは 「ERBB2陽性G/GEJ癌に対する周術期療法として、 アテゾリズマブをトラスツズマブ+XELOXに上乗せすることで良好な有効性を示し、 新たな安全性シグナルは検出されなかった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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